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動画生成を試していた時、鳥のキャラクターが、後半で急にギョロ目になりました。
くちばしも、勝手に開いています。
もともとプロンプトに書いていなかった、頼んだ覚えのない顔でした。
作り直すか、このまま使うか?
そのとき、瞬間的に私はAIに以下のように伝えていました。
「このくらいのイレギュラーさは逆に生成の醍醐味としてつかってしまおうかな。全部制御しようとするとさ、そもそも手で作ろうよって話だよね、多分」
AIは、頼めば何かを出してくれます。
でも、出てきたものを残すか捨てるかは、出たあとに自分で決めるしかありません。
その「決める」ところがやっぱり難しい。
止まってしまうこともしばしばです。
Yahoo!知恵袋にこんな質問がありました。
「AIで作ったサイトのキャッチコピーが非常にダサいので、自分で考えようとしていますがなかなか出てきません。」
質問は「なので、AIをどうしても使ってしまうのですが、」と続きます。
別の質問には、こうありました(こちらは、絵のアイデアをブレストで出す話です。AIは出てきません)。
「アイデアは出ても、良いと思えるアイデアが出ない気がします。」
AIに頼めば、案は出てくる。
自分で考えると、出てこない。
だから、またAIに頼む。
出てきた案のどれを選べばいいのかは、決まらないまま。
こんな経験ありませんか??
私もAIと一緒に色んなものを作っていますが、ここの正解を持っている側ではありません。
それで、以前読んでなんとなく頭に残っていた、『世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方』を、AIと作っている今の目線で読み直してみました。

問いは1つです。
AI時代に、あえてこの本を読む意味??。
先に答えを書くと、大いにあると思いました。
この本は、AIが出した案を選ぶための物差しになりうると感じています。
『原因と結果の法則』、『1440分の使い方』、『こうして、思考は現実になる』に続く、再読本の4冊目です。
- 『世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方』が、発想をどこに置いているか(と、この本に書いていないこと)
- AIが得意な「組み合わせ」と、この本の発想が重なるところ
- AIが出した案を「すでにあるもの2つ」に分けて、相手に届く1つを選ぶ見方
記事を書いている人

R(アール)
ソロプレナー。精密栄養カウンセラー。
Web制作の現場で長く手を動かしてきました(いまも現役)。
個人開発でいくつものアプリを並行して作りながら、AIと「作る・届ける」を実験しています。
うまくいったことも、月収2,000円みたいな冴えない数字も、隠さず公開中。
教える人ではなく、少し先で転んで戻ってきた人として、あなたと同じ目線で現在地を観測していけたらと思います。
『発想力の鍛え方』は、発想を「既存の枠の限界ぎりぎり」に置く本

『世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方』は、スポーツブランド hummel(ヒュンメル)のオーナーのクリスチャン・ステーディルと、オールボー大学の心理学教授のリーネ・タンゴーが書いた本です。
発想のテクニック集というより、クリエイティブなデンマークの人や会社へのインタビューで組み立てられています。
その本が、日本の読者に向けた前書きで、クリエイティビティをこう定義しています。
クリエイティビティというのは既存の枠の外でものごとを考えるのではなく、既存の枠の限界ぎりぎりのところで考え、活動することにかかわる能力である。限界ぎりぎりのところにすでに存在するものこそが、新たな発想の基礎となる。
「日本の読者のみなさまへ」より
枠の外へ飛び出すのとは、違う。
枠の、端っこ。
しかも、新しい発想の材料は、もうそこにある。
私も、良い案はどこかから「出てくるもの」だと思いがちでした。
この定義で読むと、発想は、ひらめきより先に材料の話になります。
要約サービスの flier では、この力を、すでにあるものを新しいやり方で組み合わせる力、とまとめています。
そのうえで、違うことをするだけでは足りない、ほかの人にとって価値のあるものを生み出さなければいけない、とも。
組み合わせが新しいこと。
相手にとって価値があること。
この2つで、1セットです。
flier の要約で例に出てくるのが、ロイヤルコペンハーゲンのお皿の話。
1775年から続く代表作、ブルーフルーテッド。
その昔のデザインを、2001年に大きくしただけのブルーフルーテッド・メガが、新しさと親しみやすさを同時に持ったデザインになった、という話です。
昔からあるデザインも、大きくするという手も、すでにあるもの。
それなのに、組み合わせると新しくなる。
日本語版の解説で田村大さんは、デンマーク流のクリエイティビティを、ゼロからイチより「イチからアルファを生む」ものだと書いています。
でも、すでにあるものの組み合わせって、それ、ほぼパクリじゃない?

本もそこは先回りしていて、ほかの国や製品を手本に新しいものを生み出すことを「コピー」と呼ぶ人もいるかもしれないけれど、自分たちは「クリエイティブ・シンキング」と呼んでいる、と書いています。

分かれ目は「ほかの人にとって価値があるか」のほうにあると読みました。
組み合わせが新しくて、しかも相手にとって何かが良くなる。
そこまでそろって、やっと発想と呼べる。
すでにあるものを、新しく組み合わせる。
これ、いまのAIが得意なことと、かなり似ています。
AIが得意な「組み合わせ」は、この本の発想と重なる
原著は2012年、日本語版は2014年。
ChatGPTが公開された2022年11月30日より、ずっと前の本です。
なので、「AI時代を先取りしていた本」とは言えません。
それでも、AIと発想の研究を読むと、重なるところがあります。
2024年の研究(Lee & Chung、Nature Human Behaviour)では、ChatGPTを使うとアイデアの創造性は上がったものの、いちばん効いたのは、根本から新しいアイデアより、少しだけ新しいアイデアのほうでした。
イチから、アルファ。
本の言い方と、近い場所を指していませんか?
ちょっとドキッとする結果もあります。
レンガと扇風機を使ったおもちゃを考える実験では、ChatGPTを使った人たちのアイデアの94%が、重なる発想を含んでいました(米ウォートン校の紹介より)。
9人が別々に、同じ「Build-a-Breeze Castle」という名前まで付けています。
2つを組み合わせる課題でも、AIに頼ると、組み合わせ方が似てくる。
もちろん研究は短い課題で試したものが多く、似たという結果もあれば、むしろバラけたという結果もあります。
ただ、似ても、バラけても、どれを残すかは別の話です。
ここに、この本を今読む意味があると思っています。
本の定義で見ると、AIの案も、何かと何かの組み合わせです。
案は、出てきます。
足りないのは、出てきた案から、相手に届く1つを選ぶ物差しのほうです。
案を出すのはAI。選ぶ物差しを持つのは自分。
選ぶところは、まだAIに渡せない判断の1つだと思っています。
でも、選べないのって、結局センスがないからじゃないの?

そう思いたくなるのは、すごくわかります。
ただ、才能の話にする前に、物差しを持っているかを見てほしいんです。
物差しがないまま10案を眺めると、どれも同じくらい微妙に見えるので。
じゃあ、その物差しをどう持つか。
本の定義を、AIの案に当ててみます。
AIの案を「すでにあるもの2つ」に分けると、枠の内側・端・外が見えてくる
ここからは、本に書いてある手順ではありません。
本の定義と、ブルーフルーテッド・メガの例からの、私の読み替えです。
flier の要約には、枠から完全に外れてしまうと、売り物にならないおそれすらある、とも書かれています。
枠の端にはいたい….
でも、外に出すぎると、売り物にならない。
この「枠」を、案を見せる相手の頭の中にあるもの、と読んでみます。
すると、AIの案は3つに分けられます。
- 枠の内側:相手が知っている2つの、相手が見たことのある組み合わせ
- 枠の端:相手が知っている2つの、相手が見たことのない組み合わせ
- 枠の外:2つに分けられない。または、相手の知らないものが入っている
たとえば、自分で作った日記テンプレートの販売ページ。
AIにキャッチコピーを頼んで、こんな3案が返ってきたとします。
- 「毎日を、もっと豊かに。」
- 「自己を、量子レベルで再設計する。」
- 「日記を、1問だけの宿題に。」
1つずつ、すでにあるもの2つに分けてみます。
1は、「毎日」と「豊か」。
どちらも相手は知っています。
でも、この組み合わせは、たぶん何度も見ている。
枠の内側です。
2は、「自己」と「量子レベル」。
量子レベルで自分を再設計するって、何をすることなのか。
相手には、たぶん絵が浮かびません。
枠の外です。
3は、「日記」と「宿題」。
どちらも知っている。
でも、日記を1問だけの宿題にする組み合わせは、あまり見かけないはずです。
しかも、相手にとって何が良くなるかを1行で言えます。
白いページの前で、何を書こうか迷わなくなる。
枠の端にあって、相手に価値がある。
残すなら、3です。
ブルーフルーテッド・メガも、「昔からあるデザイン」と「大きくする」に分ければ、同じ形をしています。
でも、10案出してもらって、全部が枠の内側だったら?

さっきのレンガと扇風機の実験みたいに、似た組み合わせばかり、は普通に起きると思います。
そのときは、もう一度出してもらえばいいです。
頼み方を工夫してもいいし、そのままでもいい。
どちらでも、返ってきた10案は同じ物差しで見られます。分けて見ていると、相手が何を見慣れているのかも、少しずつ見えてきます。
この見方を、次にAIの案が返ってきたときに使える形にしておきます。
次にAIの案が返ってきたら、3つがそろう1つを選ぶ
やることは、分けて、選ぶだけです。
次にAIに案を出してもらったら、1つずつ「すでにあるもの2つ」に分けて並べます。
そのうえで、この3つがそろう案を1つ選びます。
- 2つとも、相手が知っている
- その組み合わせを、相手は見たことがない
- 相手にとって何が良くなるかを、1行で言える
前の2つで、枠の端にあるかを見ます。
3つ目で、相手に価値があるかを見ます。
頼み方も、頼む順番も、変えなくても使えます。
出たあとの見方を、1つ足すだけです。
先に言っておくと、この3つで選んだ記録は、私にもまだありません。
あのギョロ目の鳥のキャラクターも、この3つで選んだわけではないです。
出たあとに、「つかってしまおうかな」とAIに伝えただけ。
でも、出たあとに選ぶ、という場所は同じでした。
この3つが手元にあると、案を前にして「どれも微妙」で止まらずに済むと思います。
何が微妙なのかを、「内側だから」「外だから」と言えるようになるからです。
案が出ないことを、才能のせいにしなくてよくなる。
当たりが出るまで引き直すより、出てきたものから、自分の相手に合う1つを拾いやすくなる。
AIと一緒に作る時間が、いまより少し楽しくなるはずです。
案を出すのはAI。選ぶ物差しを持つのは自分。
ただ、ひとつだけ。
枠の端は、相手によって場所が変わります。
同じ「日記」と「宿題」でも、もう見慣れている人がいるかもしれない。
届けられる人に近づくために見ておきたいのは、AIの案の出来より、あなたの相手が何を知っていて、何をまだ見ていないかです。
2つ目のチェックで、「相手がこれを見たことがあるか、分からない」と手が止まったら。
そこが、相手についての、いまのあなたの現在地です。
この本はインタビューでできた本なので、手順を順に追う本ではありません。
手順がほしいだけなら、この記事の3つで先に試せます。
物差しの元になる考え方を、もう少し深く持っておきたいなら、本のほうです。
案は、AIに出してもらえます。
選ぶ物差しのほうは、この本の定義から作っていけると思っています。
読むなら、AIに出してもらった案を1つ手元に置いてから。
インタビューの中に、何と何の組み合わせがあるのか。そこを探しながら開いてみてください。
自分の商品を作って、出して、届けて、売る。その一周で私が詰まったところは、自分の商品を持つまでの地図にまとめています。
AIと作りながら、何を残して、何を捨てるか。
その続きの実験は、メルマガで書いていきます。
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