自動化が続かない問題は、あなただけじゃない

「ちゃんと作った自動化なのに、だんだん使わなくなっていく」——この感覚、覚えがありませんか。
週末に気合を入れて作ったワークフロー。
最初の1週間は快適に動いていたのに、気づけば手動に戻っている。
「また作り直しか…」とため息をつく。
実はこれ、珍しい話ではありません。
ある調査によると、67%の自動化プロジェクトが期待通りの結果を出せていないというデータがあります。
さらに、34%は導入から6ヶ月以内に放棄されているとも言われています。
「自動化って結局続かないな」——そう感じているなら、今回の話が参考になるかもしれません。
自動化観測日誌シリーズの最終回として、「どう付き合い続けるか」を考えます。
完成を目指していた頃の失敗パターン

振り返ってみると、僕の自動化には共通のパターンがありました。
まず、完璧なワークフローを設計しようとする。
あらゆるケースを想定して分岐を作り込む。エラーハンドリングも万全にする。
「これで完成だ」と満足する。
ところが、1ヶ月もすると状況が変わっています。
使っているサービスのAPIが変わったり、自分のやり方が変わったりする。
そのたびに「また直さなきゃ」となり、面倒になって放置してしまう。
問題は、「自動化が悪いんじゃなくて、完成させようとしている自分が問題」だったんです。
「完成」という概念自体が、自動化とは相性が悪い。
なぜなら、環境は常に変化するから。
完成を前提にすると、変化は「壊れた」という認識になります。
壊れたものを直すのは億劫です。だから放置される。
この構造に気づいたのが、シリーズの#1で書いた「組み立てる」という発想と、#2で書いた「全部やらない」という選択を経験した後でした。
観測前提という発想の転換

転機になったのは、「観測前提の運用に切り替えた」ときでした。
これは「Observability(可観測性)」という概念から借りてきた考え方です。
ソフトウェアの運用で使われる概念で、ログ・メトリクス・トレースという3つの柱で「何が起きているか」を常に把握できる状態を作ります。
僕はこれを個人の自動化に応用しました。
具体的には以下のような仕組みです。
- 毎日のサマリー通知:自動化が何件動いたかをSlackに流す
- 失敗時の即時通知:エラーが起きたらすぐ気づける仕組み
- 週次の振り返り:動作ログを見て「最近使ってないな」を確認
完璧に動かすことではなく、何が起きているかを把握することにフォーカスを移しました。
もう一つ取り入れたのが「Graceful Degradation(優雅な劣化)」という考え方です。
壊れても全体が止まらない設計。一部が動かなくても、残りは機能し続ける。
例えば、RSSの自動収集が壊れても、手動でURLを貼れば後続の処理は動く。
そういう「逃げ道」を最初から用意しておきます。
壊れても困らない自動化との付き合い方

今の僕のスタンスはこうです。
「壊れてもいい、変わってもいい、一時的に止まってもいい。その代わり、観測する」
これを実践するためのポイントを3つ挙げます。
1. 通知は「成功」より「変化」を重視
毎回「成功しました」と通知が来ても、いずれ無視するようになります。
それより「昨日と違う動きをした」「3日間動いていない」という変化を通知する方が有用です。
2. 完璧な分岐より、シンプルな主線
すべてのケースを網羅しようとせず、80%のケースだけをカバーする主線を作る。
残り20%は手動でいい。#2の「半自動化」の考え方そのものです。
3. 定期的な「棚卸し」の時間を作る
月に1回、動いている自動化を一覧で見る時間を取ります。
「これ、もう使ってないな」「これ、もっとシンプルにできそう」という気づきが生まれます。
自動化ツールの選び方で紹介したn8nなら、ワークフロー一覧で最終実行日時が確認できるので便利です。
まとめ:観測日誌を書き続ける

シリーズを通して書いてきたのは、結局「自動化との距離感」の話でした。
- #1:既製品を買うのではなく、自分で組み立てる
- #2:全部やらず、任せる範囲を決める
- #3:完成させず、観測しながら付き合う
どれも「自動化をコントロールしよう」とするのではなく、「自動化と共存しよう」という姿勢です。
完璧な自動化は存在しません。
でも、壊れても困らない自動化は作れます。
そのためには、観測し続けること。
変化に気づき、必要なら直し、不要なら捨てる。
僕はこれを「観測日誌」と呼んでいます。
実際に日誌をつけているわけではありませんが、自動化の様子を定期的に眺める習慣——それ自体が、自動化を長続きさせる秘訣なのかもしれません。
参考になれば幸いです。
参考文献
自動化の運用について
- My Automation Failed: 7 Common Workflow Automation Mistakes – Autonoly
- N8N Best Practices: Building Reliable Automation Systems – Wednesday

