説明が苦手なデザイナーへ|ロジカルシンキングで「なんとなく」を言葉に変える技術

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この記事でわかること
  • 説明が苦手なのは、センスや経験不足のせい?
  • 「なんとなく」を、どう言葉に変える?
  • 明日のレビューで使える1ステップは?

「このレイアウト、なぜこの順番なんですか?」とクライアントから聞かれて、頭の中には理由らしきものがあるのに、口からはうまく出てこない。

会議で詰まって、帰り道に「あれ、どう答えればよかったんだろう」と1人で反芻する。

説明が苦手で困っている若手Webデザイナーは、たぶん私が思っているよりずっと多いです。

私もそうでした。

3〜4年目までは、レビューのたびに「なんとなく」で詰まり、毎回違う方向に修正が走っていました。

Web制作を17年やってきて分かったのは、説明が苦手なのはセンスや経験の問題ではなく、頭の中の情報を「整理する型」を持っていないだけということです。

この記事では、その整理の型として使えるロジカルシンキングの技術を、サイト構成とLP導線の実例つきで書きます。

コンサル本のような抽象論ではなく、明日のレビューで使える範囲に絞っています。

なお、この記事はまとめ記事「5つのビジネスフレームワーク全体像」で扱う5つのフレームのうち、②ロジカルシンキングを深掘りした子記事です。

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17年の現場で何度も思いましたが、「説明が苦手」は中身じゃなく出力の順番の問題だったケースがほとんどです。型を1つ持つだけで景色が変わります。

記事を書いている人

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R(アール)

Web制作の現場で17年(現役進行中)。精密栄養カウンセラー。

個人開発をアプリ6本並行しながら、AIと「作る・届ける」を実験しています。

うまくいったことも、月収2,000円みたいな冴えない数字も、隠さず公開中。

教える人ではなく、少し先で転んで戻ってきた人として、あなたと同じ目線で現在地を観測していけたらと思います。


AIと「作る・届ける」の実験は、週1でメルマガにも書いています。→ のぞいてみる(限定特典つき無料)

デザイナーが説明できないのは「センスがない」からじゃない

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最初に、いちばん伝えたい話を書きます。説明が苦手なのは、デザイナーとしての才能不足ではありません

とりさん
とりさん

正直、説明できないのは自分のセンスや経験が足りないからだと思ってました…

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そこ、私も3年目はずっとそう思い込んでました。でも違ったんです。才能じゃなく、頭の中を出力する型がなかっただけでした

3年目の頃の私は、レビューで詰まるたびに「自分はセンスがないのかもしれない」「経験不足だからだ」と本気で思い込んでいました。

実際に「もっと感性を磨かないと」と本を買い込んだり、海外サイトを毎日眺めたりして、自分のアウトプットの中身ではなく「インプット量」のほうばかり増やしていた時期があります。

でも、状況は変わりませんでした。

むしろインプットが増えるほど、「あれもいい、これもいい」で頭が散らかって、自分が今日作った画面の説明はますますできなくなった。

転機になったのは、当時の先輩に「デザインの話を、ロジックの順番で1回バラしてみたら」と言われたことです。

半信半疑で試したら、説明が苦手だったのは中身ではなく、頭の中の情報を出力する順番が決まっていなかっただけだと気づきました。

中身は3年分ちゃんと積まれていた。出口の型がなかった。

これは才能の話ではなく、情報整理の作法の話です。

だからこそ、後天的に身につけられる。これがこの記事を書く一番の理由です。

詳しくは、まとめ記事の「5つのビジネスフレームワーク全体像」のほうで、デザイン業務全体における判断の土台として整理してあります。

なぜ説明が苦手になるのか — 3つの構造的な理由

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ロジカルシンキングの技術に入る前に、なぜ若手のうちは説明が苦手になりやすいのか、構造的な理由を3つだけ整理しておきます。原因が分かると打ち手も自然に決まるので、ここは飛ばさずに読んでほしいです。

理由①:情報を「順番」で持っていない

人間の頭は、画面を見たときには全体を同時に把握しています。

色も配置も導線もフォントも、ぱっと一瞬で。でも、口で説明するときは1つずつ順番に出す必要があります。

つまり、頭の中の「同時情報」を、口の「順番情報」に変換する作業が必要なんですが、若手のうちはこの変換ルートが定まっていないんですね。

だから話し始めても途中で迷い、「えっと、まずは…あ、その前にここなんですけど…」と混線します。

説明が苦手に見える正体の半分くらいは、この変換不足です。

理由②:「誰向け / 何を伝える / 何をしてほしい」が頭で分離していない

レビューで聞かれているのはたいてい「判断の理由」です。

なぜこの色なのか、なぜこの順番なのか。

ところが若手の頃は、デザインを作っている最中に「これは誰向けか」「この人に何を伝えたいか」「最終的に何をしてほしいか」が頭の中でごちゃっと混ざっています。

混ざったままだと、説明のときも混ざるんですよね。

「20代女性向けで、信頼感を出して、フォーム送信を取りたいので、青系で、丸ゴで、ちょっと暖かみがあって…」みたいに、レイヤーがバラバラのまま出てくる。

理由③:MECEの感覚がない(漏れダブり混入)

3つ目が、これも地味に効くんですが、MECE(モレなく・ダブりなく)の感覚がないことです。

MECEはバーバラ・ミントが1985年の著書『The Pyramid Principle』で体系化した、マッキンゼー由来のロジカルシンキングの分解作法ですが、難しく考える必要はありません。

要は「カテゴリが被ってない / 抜けてない」というだけの話です。

説明が苦手なときの典型は、「色について」「フォントについて」「配置について」と並べているつもりが、実は色とフォントが両方トーンの話だったり、配置の説明に余白の話が混ざったり、肝心のCTAの話が漏れていたりします。

聞いている側は、何の軸で話しているのか把握できなくなる。

理由①〜③のうち、自分はどれが一番痛いか、ちょっと考えてみてください。

打ち手の優先順位が変わります。

とりさん
とりさん

うーん…正直、3つとも当てはまる気がします

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全部当てはまっても大丈夫です。次に出す「3段の型」が、その3つをまとめて押さえてくれるので

ロジカルシンキングを「説明の型」として使う技術

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ここから本題です。

私が17年の現場で、説明が苦手な時期から抜けるために実際に効いたロジカルシンキングの使い方を3つ書きます。

順番に積み上げる構造になっているので、上から試すのがおすすめです。

① 誰向け → 何を伝える → 何をしてほしい の3段で整理する

これが一番効きました。

デザインを作るとき、説明するとき、両方で頭の中をこの順に並べる、というだけのルールです。

  • 誰向け:このページ/サイト/要素は、どんな人に見てもらうものか
  • 何を伝える:その人に、いちばん持ち帰ってほしい情報は何か
  • 何をしてほしい:最終的に取ってほしい行動は何か

具体例で書きます。コーポレートサイトのTOPページの「サービス紹介セクション」の説明を求められたとして、3年目の私ならこう答えていました。

「えっと、3つ並べてるのは、サービスを比較しやすくするためで、色は信頼感を出したくてブルー系で、アイコンは丸を使ってるのは柔らかさを出したくて…」

レイヤーがバラバラで、聞き手の頭の中で組み立て直しが発生します。3段の型を通すとこうなります。

「このセクションは、中小企業の経営者向けです(誰向け)。3つの主力サービスを比較できる形で並べることで、自社の課題と一番近いものを30秒で見つけてもらうのが目的です(何を伝える)。各カードからサービス詳細へのリンクを大きく置いて、深く知りたいサービスの詳細ページに遷移してもらう設計にしています(何をしてほしい)」

中身はほぼ同じです。順番だけ変えた

これだけで、聞き手の納得感は劇的に変わります。

「説明が苦手」の8割は、この順番の問題で、中身の問題ではなかったというのが、私の実感です。

② MECE で漏れダブりを潰す

3段の型ができたら、次は中身の整理です。MECEを意識すると、説明に「カテゴリの軸」が立つようになります。

LP制作のとき、私はだいたい以下の軸でMECEに分解して説明します。

  • 情報設計:ファーストビュー / ベネフィット / 証拠(実績・口コミ) / CTA / FAQ
  • ビジュアル設計:色 / 書体 / 余白 / 写真・図版
  • 行動設計:想定導線 / 想定離脱ポイント / フォーム摩擦の対処

レビューで「このLPの構成、なぜこの順番なんですか?」と聞かれたら、「情報設計の軸で答えますね」と前置きしてから話します。聞き手に今からどの軸の話をするのかを先に伝えるだけで、説明の通りやすさが体感3倍くらい変わります。

ここで大事なのは、MECE は「完璧に分ける技術」ではなく、「どの軸で話しているかを自分も相手も把握できる状態を作る技術」だと思っておくことです。

完璧を目指すと永遠に分解作業に沈むので、現場では「いま3つ並べたけど、抜けと被りはなさそうか」を自分で1回確認するだけで十分です。

兄弟記事の「デザイナーのための言語化トレーニング」でも、感覚を分解して言葉にする技術を扱っていますが、MECE はその分解の「軸を立てる」フェーズに効く道具です。

③ ピラミッド構造で結論を先に出す

最後の型は、ピラミッド構造です。

これは「結論を先に、根拠を後で」という順番のルールで、Barbara Minto の『The Pyramid Principle』(1985)の中核にある考え方です。

説明が苦手な時期の典型的なミスは、レビューで詰まったときに「えっと、まず背景の話なんですけど…」と前提から積み上げ始めることです。

気持ちは分かります。

順を追って説明したい。

でも、忙しいクライアントやディレクターは、結論を先に聞きたいんですよね。

ピラミッド型でいくとこうなります。

結論から言うと、CTAボタンの位置を1stビュー直下に置いた理由は、想定ユーザーの離脱が2スクロール目に集中するからです(結論)。理由は3つあって、① ヒートマップで2スクロール目の離脱が42%、② 競合5社中4社が1stビュー直下に置いている、③ 過去案件でも同じパターンでCVRが1.4倍になった、です(根拠)。なので今回は、迷わずファーストビュー直下に置きました(再結論)」

結論 → 根拠 → 再結論。この型に乗せると、説明が苦手な人でも、聞き手側からは「ちゃんと考えて作っている人」に見えます。これは演出ではなく、実際にちゃんと考えていることを伝わる形で出しているだけです。

兄弟記事の「問題解決フレームワークの基本」でも、考える順番の型については扱っていますが、ピラミッド構造は特に「出力の順番」に効くフレームです。

「説明が苦手」を抜け出した1つのきっかけ — 失敗談

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ここで、私が「説明が苦手」をはっきり自覚した失敗談を1つ書いておきます。

3年目の通販系LP案件です。

そのLPは、ある食品ブランドの定期購入導線のリニューアル案件でした。

初稿のレビューで、クライアントの担当者から「このページ全体、なんでこの順番なんでしょう?」と聞かれた瞬間、頭が真っ白になりました。

頭の中には、確かにいろいろ考えていた痕跡があった。

商品の差別化ポイントを先に出したい、写真の比率を強めにしたい、お客さまの声を入れたい、定期購入の不安を解消する FAQ も入れたい。

でも、それを「なぜこの順番か」に組み立て直す型を持っていなかった。

口から出たのは「えっと、なんとなく流れが自然になるかなと思いまして」だった。

会議室の温度が、すっと下がりました。

ディレクターが「持ち帰って整理し直します」と引き取ってくれて、その案件は次の打ち合わせまで1週間延期になりました。

帰ってから先輩に泣きついて、「1回、誰向け・何を伝える・何をしてほしい でバラしてみろ」と言われたんですね。

半信半疑でやってみたら、自分が作ったLPの構成が、実はその順番で説明できることに気づいたんです。

中身を変える必要はなかった。説明の型が無かっただけだった。

次のレビューでは、3段の型に乗せて 30秒で構成意図を説明しました。

最初の3秒で誰向けかを伝え、次に商品の差別化ポイントで興味を保ち、最後に定期購入の不安を解消するFAQで申し込み行動につなげる構成です」。

クライアントは「ああ、なるほど」と1回でうなずいてくれました。

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このとき体で覚えたのは、説明が苦手なのは才能ではなく整理の問題で、整理の型を1つ持つだけで景色が変わる、ということでした。それからの14年で、何度もこの3段に救われています。

ちなみに、根本的に「要望を疑う」「前提を問い直す」スキルについては、兄弟記事の「確証バイアスとデザイナーの判断ミス」で扱っています。

説明する手前の「何を説明すべきか」を整理したいときは、そちらと併読するといいです。

5つのビジネスフレームの中での位置づけ — まとめ記事の②にあたる

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ここまで読んでもらった人向けに、この記事の位置づけを書いておきます。

冒頭でも触れた通り、この記事はまとめ記事「5つのビジネスフレームワーク全体像」のうち、②ロジカルシンキングを深掘りした子記事です。まとめ記事では以下の5つを扱っています。

  1. クリティカルシンキング — 要望を疑い、本当の課題を掘る
  2. ロジカルシンキング — 情報を整理して説明できる形にする ← この記事
  3. フレームワーク思考 — 考える順番を型として固定する
  4. 言語化 — 「なんか良い」を分解して共通言語化する
  5. SMART法則 — 曖昧なゴールを判断基準に変える

これらは独立に効くのではなく、順番に重なっていく性質があります。

クリティカルシンキングで「本当に答えるべき問い」を見つけ、ロジカルシンキングで「答えを整理」し、言語化で「相手と共通の言葉」を作り、SMARTで「終わりどころ」を決める、というイメージです。

「説明が苦手」を抜けたい人にとって、いちばん即効性があるのが、たぶんこの②ロジカルシンキングです。

残りの4つは、説明が苦手な状態から1段抜けたあとに、徐々に積み上げていくほうが、現場では使いやすいと思います。

まとめ — 次のミーティングで使える1ステップ

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長くなったので、最後に「明日からの1ステップ」だけ書きます。

説明が苦手な状態を変えるためには、次のレビューで1つだけやってほしいことがあります。

画面を説明する前に、3秒だけ自分の頭の中で「誰向け / 何を伝える / 何をしてほしい」を並べる

これだけです。MECEもピラミッド構造も、最初から全部やる必要はありません。

3段の順番を口に出す前に1回頭の中で並べる。

それだけで、説明が苦手で詰まる回数は確実に減ります。

私が17年の現場で何度も確認したのは、説明が苦手なのは才能じゃなく、整理の型を持っているかどうかの差だということです。

型は1つから始めればよくて、3段の整理 → MECE → ピラミッド構造の順に積み上げると、半年後の自分は、今の自分とは別人みたいに説明が通るようになります。

説明が苦手で会議に行くのが憂鬱だった頃の自分に渡せるなら、この記事を渡したいです。

あなたの次のレビューが、少しでも楽になりますように。

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明日のレビュー、1つだけ意識してみてください。3段。それだけです。ファイトー!

参考文献

この記事は「判断力を鍛える思考法」シリーズの一部です。
シリーズ全体を見る:判断力を鍛える思考法

ロジカルシンキングを Web 制作現場の判断軸として使う技術は、こちらの記事でまとめています。
ロジカルシンキングを含む5つのビジネスフレームワーク全体像

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