「WinMergeがない…」。
Macを開いた瞬間、長年の相棒がいないことに気づきました。
Windows時代はWinMerge一択でした。
軽い、無料、直感的、フォルダ比較も楽。
それが当たり前になっていたからこそ、Mac移行の瞬間にその「当たり前」が消えた衝撃は大きかったです。
この記事は、WinMerge難民として複数のツールを試し続けた体験から書いています。
結論だけ先に言うと、WinMergeの「完全代替」は存在しません。でも、用途を分解すると答えは必ずあります。
WinMergeはMacで使えない(そして無理やり動かすのも現実的じゃない)

WinMergeの公式サイトには明記されています。
「WinMerge is an Open Source differencing and merging tool for Windows」と。
最新版は2.16.54(2026年1月リリース)ですが、Windows x86/x64/ARM64向けのみで、macOS版は存在しません。
「じゃあWineやHomebrewで動かせないか」と試した方も多いと思います。
Intel Macなら、WineskinServer経由でWinMergeを動かした事例は報告されています。
ただし、Apple Silicon Mac(M1/M2/M3)では動作保証がなく、日本語IMEで文字を変換するときに入力した文字が見えないという制限も残ります。
Wine経由での動作をメイン環境として維持し続けるのは、正直しんどいです。
Wineskinのバージョンが変わるたびに手順が陳腐化して、また調べ直しが必要になります。
「今日も動くかな」と毎回確認するのに疲れて、結局やめました。
そこで、「代替ツールを探す旅」が始まります。
よくある代替探しの失敗3パターン(FileMerge・Meld・VSCode拡張)

Mac移行ユーザーが最初に試す3つのルートと、その「なんか違う」を正直に書きます。
FileMerge(Xcode同梱の無料ツール)
macOSに標準同梱されているdiffツールです。
無料で追加インストール不要(正確にはXcodeまたはCommand Line Toolsが必要)という点で、最初の候補になりやすいです。
試してみると、確かに差分は見られます。
ただ、フォルダ比較をするとナビゲーターが別ウィンドウで開いて、画面が一気に散らかります。
差分のカラーハイライトもWinMergeと比べると弱くて、どこが変わったのか視覚的に掴みにくい。
「NeXTStep由来の老舗ツール」という経緯もあって、UIが2024年のMacアプリとは別物の感触でした。
Meld(GTKベースのOSSツール)
LinuxのデファクトスタンダードなdiffツールであるMeldは、macOS向けに非公式フォーク(yousseb/meld)があります。
無料でフォルダ比較もできるため、一見WinMergeの代替候補に見えます。
ところが、GTKベースのためmacOSネイティブのUIを持ちません。
ウィンドウの最大化・最小化ボタンがmacOSらしくなく、全体的に「Macアプリ感」がゼロです。
さらに、Apple Silicon MacではRosetta 2経由のみで動作し、シンタックスハイライトと3方向マージを組み合わせたときの動作が重くなる問題がGitHubのissue(#121)で複数報告されています。
VSCode拡張(code –diff)
VSCodeのdiff機能は、コマンドで2ファイルをサイドバイサイド比較できます。
カラーハイライトも充実していて、エンジニアであれば普段の作業フローに組み込みやすいです。
ただ、「ちょっとテキストファイル2つを比べたい」という用途には過剰です。
VSCodeを立ち上げ、拡張機能を待ち、比較ビューを開く。
この数十秒の起動コストが、日常的な軽い差分確認には積み重なってきます。「あ、もういいや」となって確認をサボりがちになるのが本当の問題でした。
3つを全部試して気づいたのは、「どれもWinMergeじゃない」という当たり前の事実でした。
当たり前なんですけど、これを腹の底から理解するまでに、けっこう時間がかかりました。
気づき:欲しかったのは「機能」じゃなく「安心感」だった

何週間も代替ツールを試し続けて、ある夜ふと思ったんです。
ぶっちゃけ、自分が欲しかったのはツールの「機能」じゃなかった。「ストレスなく差分を見られる状態」という安心感だったんだ。
WinMergeへの執着の正体は、機能への愛着ではありませんでした。
「このツールを開けば確認できる」という体験の確実性、その安心感への依存でした。
代替を「1本で完全に置き換えられるツール」として探し続けていたのが間違いでした。
WinMergeが長年使えたのは、それが唯一完璧だったからではなく、使い続けることで操作が体に染みついていたからです。同じ安心感は、同じツールを探しても手に入りません。
使い慣れることで生まれるものです。
この視点に切り替えたとき、問いが変わりました。
「WinMergeの代替は何か?」ではなく、「自分がWinMergeでやっていたことは何か?」へ。
用途を分解すると、Macでも答えは見つかる

WinMergeで自分がやっていた作業を振り返ると、大きく3つに分かれていました。
テキスト・コードファイルの差分確認
設定ファイルや原稿を2ファイル並べてサイドバイサイドで見る用途です。
DiffMerge(SourceGear製・無料)がWinMergeの操作感に最も近いです。
起動が速く、軽量で、日常の「パッと開いてさっと確認」に向いています。
ただし注意点があります。
Apple SiliconではRosetta 2経由のみの動作で、Homebrew経由での配布は2026年9月1日に終了予定です。
メンテナンスもほぼ停止に近い状態なので、将来的な移行先を考えながら使う必要があります。
品質重視ならKaleidoscope(年額96ドル)が最も洗練されています。
macOSネイティブのUIで、Apple Silicon完全対応。
継続コストがかかる点だけ、ご自身の使用頻度と相談してください。
テキスト比較の仕組みとdiffの基本を理解しておくと、ツールの機能差も選びやすくなります。
フォルダ・ディレクトリの差分比較・同期
WinMergeのフォルダ比較機能の代替として最も強力なのがBeyond Compareです。
Standard版35ドルの一括払いで、Apple Silicon対応。
Macで使えるdiffツールとしては機能的にWinMergeを大幅に上回ります。
クロスプラットフォームなので、チームにWindows・Mac混在環境があるときも重宝します。
有料に抵抗がある場合はMeldも選択肢ですが、前述のパフォーマンス問題を許容できるかどうか次第です。
用途別のdiffツール選び方ガイドで、各ツールの選び方をより詳しく解説しています。
原稿・文章の差分確認(非コード)
マークダウンやテキストで書いた原稿を、バージョン間で比較する用途です。
Git管理下にあればVSCodeのdiff機能が自然に使えます。
Gitなしの場合はDiffMergeで対応できます。
Gitだけでは足りない場面もある

「GitがあればdiffできるからGUIツールは不要では」という声があります。
この点は少し整理しておきたいです。
Gitはバージョン管理システムです。
変更の追跡・履歴管理・ブランチ管理が得意です。
一方、WinMergeのようなGUI diffツールは「今この瞬間、2つのファイルが何が違うか」をリアルタイムで確認するためのツールです。
目的が根本的に異なります。
GUI diffツールが必要になる場面は具体的にあります。
Git管理外のファイル(納品物、取引先から受け取ったドキュメントなど)の比較、エンジニアでないチームメンバーとのファイル確認、フォルダ単位での同期状況の確認。
こういう場面では、CLIのdiffよりGUIの方が圧倒的に速く確認できます。
どちらかが優れているのではなく、使い分けの問題です。
まず1つ試してみよう(著者の現在のdiff構成も公開)

現時点での私のMacでのdiff構成を公開します。
- 日常のテキスト比較: DiffMerge(Homebrew廃止予定のため移行先検討中)
- フォルダ同期・比較: Beyond Compare($35一括・Apple Silicon対応が決め手)
- 原稿の差分確認: Git + VSCode(原稿はすべてGit管理しているため)
「完全な代替を1本で」という考えを手放したことで、それぞれの用途に最適なツールを選べるようになりました。
3本使い分けても、慣れれば迷いは減ります。
まず自分がWinMergeで最もよく使っていた用途を1つ特定してみてください。
テキスト比較が多かったならDiffMerge、フォルダ比較が中心ならBeyond Compareを試すところから始めるのが最短ルートです。
複数のツールを横断的に比較したい方には、Diff Pro Max シリーズの総合比較ガイドもあわせてご覧ください。
