AIデザインツール4つを実際に使って比較した — 選ぶ基準はツールの性能じゃなかった

AIデザインツール、増えすぎました。

Pencil、Figma AI、Midjourney、v0。

名前を聞くだけで4つ。

調べ始めると比較記事が山ほど出てきて、読めば読むほど選べなくなる。

「結局どれがいいの?」と思いながらブラウザのタブが10個開いている。

そんな状態じゃないですか。

自分はデザインと実装を17年やっています。

4つとも実務で使いました。

その結論を先に言います。

どのツールが優れているかは、あなたの目的で変わります。

そしてもっと言うと、ツール選びで迷っている時間は、たぶん無駄です。

この記事では、同じタスクを4ツールで試した体験を元に、選び方の判断基準を整理します。

AIデザインツール、多すぎて選べない問題

「AIデザインツール おすすめ」で検索すると、10個も20個もリストアップされた記事が出てきます。

スペック表。

料金比較。

スクリーンショット。

情報はたくさんある。

でも、使った感触が書いてない。

スペックで比較しても、実際の制作で何が起きるかはわかりません。

「画像生成AI」とひとくくりにされるけど、Midjourneyとv0ではやっていることが全然違います。

LPのアイキャッチを作りたいのか、UIモックアップが欲しいのか、コードごと生成したいのか。

目的が違えば正解も違う。

リスト記事を5本読んで迷いが増えたなら、この先を読んでください。

実際に手を動かした人間の話をします。

4つのAIデザインツールを30秒で整理する

まず全体像を掴みます。

詳しい使い方は各ツールの公式を見ればいいので、ここでは「何をするツールか」だけ。

Pencil — テキスト指示で叩き台を生成

Claude CodeからMCP経由でテキスト指示を出すと、Pencilのキャンバスにデザインが生成されます。

独自の`.pen`形式。

Figmaへのエクスポートも可能。

特徴は「対話的に微調整できる」ことです。一発生成で終わりではなく、「この要素の色を変えて」「余白をもう少し広げて」といった個別ノードの修正がターミナルから通ります。

詳しくはClaude Code × Pencilで実際にAIデザインを試した記録に書きました。

Figma AI — 既存ワークフローにAIを追加

Figmaの中にAI機能が内蔵されています。

First DraftでUIの叩き台を生成したり、テキストやアセットをAIで差し替えたり。

最大の利点は「Figmaの中で完結する」こと。すでにFigmaを使っているなら、新しいツールを覚える必要がありません。

ただし、Figma AIが「使えない」と感じたときの本当の原因でも書いた通り、精度には波があります。

Midjourney — ビジュアル特化の画像生成

プロンプトからビジュアルを生成する画像生成AI。

UIではなく、アイキャッチ画像やイラスト、ビジュアルコンセプトの制作に強い。

クオリティは4ツールの中で最も高い。

ただしUIデザインはできません。

あくまで「画像素材を作る」ツールです。

v0 — UIコードを直接生成

Vercelが開発したAIツール。

プロンプトを入力すると、React + Tailwind CSSのUIコードが生成されます。

デザインファイルではなく、動くコードが出てくる。

エンジニアには魅力的ですが、バイブコーディングの限界を痛感した体験談でも触れた通り、「コードが動く」と「デザインが良い」は別の話です。

同じタスクを4ツールでやってみた

比較記事を書くなら、同じ条件で試さないとフェアじゃない。

やったこと:個人開発サービスのLPアイキャッチ画像を1枚作る。

テーマは「タスク管理アプリのヒーローセクション」。

ネイビーブルーとコーラルの配色指定。

テキスト要素あり。

Pencil:叩き台→微調整の流れが速い

Claude Codeから「タスク管理アプリのヒーローセクション、ネイビーブルーとコーラル、CTAボタンあり」と指示。

30秒で叩き台が出ました。

レイアウトの大枠はいい。

でもCTAボタンの余白が詰まりすぎていた。

「ボタン周囲のパディングを24pxに」と追加指示。

10秒で修正完了。

この「指示→修正→確認」のサイクルが速い。

合計5分。

Figma AI:Figmaの中で完結する安心感

Figma AIのFirst Draftに同じ指示を入力。

UIが1画面生成されました。

出てきたものは「悪くないけど、なんか違う」。

見出しと本文のフォントサイズ差が足りない。

タイポグラフィの**階層**が弱い。H1が24pxで本文が16px。

差が8pxしかない。

手動でH1を40pxに変更して、ようやくメリハリが出ました。

Figmaの操作に慣れていたから修正は早かったけど、合計15分。

Midjourney:ビジュアルの質は圧倒的

Midjourneyにプロンプトを入れました。

「modern task management app hero section, navy blue and coral, clean UI mockup style –ar 16:9 –v 6」。

出てきた画像を見て、正直うなりました。

圧倒的にきれい。

でも、これは「画像」です。

テキストは読めない(AIが生成した擬似文字)。

ボタンの位置は変えられない。

あくまでビジュアルコンセプトやアイキャッチ用。

実装に使えるUIではありません。

合計3分。

ただし、用途がビジュアル素材に限定されます。

v0:動くコードは出るが、デザインは…

v0に「task management app hero section with navy blue and coral color scheme」と入力。

React + Tailwindのコードが生成されました。

ブラウザでプレビューすると、動く。

ただ、見た目がテンプレート感全開でした。

余白が均一。

フォントウェイトに変化がない。

配色は指定通りだけど、アクセントの使い方が雑。

「とりあえず全部にコーラルを散らしました」という印象。

コードとして動くことと、デザインとして成立することの間には、けっこうな溝があります。

合計7分。

体験比較まとめ

項目PencilFigma AIMidjourneyv0
所要時間5分15分3分7分
出力形式.penファイルFigmaフレーム画像(PNG/JPG)React + Tailwind
微調整ターミナルから対話的Figmaで手動再生成コード編集
UI制作×○(コード)
ビジュアル品質
そのまま実装××(デザインファイル)×

得意・不得意マトリクス

同じタスク以外にも、日常の制作で使い続けてみて見えてきた得意・不得意があります。

Pencilが得意なこと

  • ゼロからの叩き台生成。白紙のキャンバスで悩む時間がなくなる
  • 対話的な微調整。個別ノードの色、サイズ、配置をテキストで指定可能
  • Claude Codeとの統合。コーディングからデザインまで同じターミナルで完結

Pencilが苦手なこと

  • ピクセル単位の精密な調整(Figmaに持っていく方が速い)
  • チームでのデザインレビュー(共有フローが未成熟)
  • 写真素材やリアルなビジュアルの生成

Figma AIが得意なこと

  • 既存のFigmaワークフローへの統合。新しいツールを覚えなくていい
  • コンポーネント化Figmaコンポーネント設計の実践ガイドのノウハウがそのまま活きる
  • チームコラボレーション。共有、コメント、バージョン管理がFigmaのまま

Figma AIが苦手なこと

  • 生成精度の安定性(同じプロンプトでも結果がバラつく)
  • 日本語UIの品質
  • 1プロンプトで複数画面の一括生成

Midjourneyが得意なこと

  • ビジュアルクオリティ。4ツールの中で圧倒的
  • コンセプトビジュアル。ムードボードやアイキャッチに最適
  • スタイルの多様性。写真風、イラスト風、アイソメトリックなど自在

Midjourneyが苦手なこと

  • UIデザイン(そもそも用途が違う)
  • テキスト要素の正確な生成
  • 細かい修正(再生成ガチャになりがち)

v0が得意なこと

  • 動くプロトタイプの即時生成。デザインファイルを経由せずコードが出る
  • エンジニアとの共通言語。React + Tailwindなのでそのまま議論できる
  • インタラクションの確認。ホバーやアニメーションも含めて生成される

v0が苦手なこと

  • デザインの質(テンプレート的になりがち)
  • 余白やタイポグラフィの繊細なコントロール
  • ブランドに合わせた配色設計

結局どれを使えばいい? — ツールではなく目的で選ぶ

ここまで読んで「で、どれがおすすめなの?」と思いますよね。

答えは、目的で決まります。ツールの優劣ではありません。

「白紙から叩き台がほしい」→ Pencil

デザインのゼロイチが重い人。

フリーランスで全工程を一人でやっている人。

Claude Codeを使っているなら、同じターミナルから指示を出せるPencilが最も摩擦が少ないです。

「Figmaのワークフローを崩したくない」→ Figma AI

チームでFigmaを使っている。

コンポーネントライブラリがある。

デザインシステムが整備されている。

その環境にAIを追加したいならFigma AI一択です。

「アイキャッチやビジュアル素材がほしい」→ Midjourney

ブログのOGP画像、LPのヒーローイメージ、プレゼン資料のビジュアル。

画像素材の品質を求めるならMidjourney。

AI画像生成プロンプトのコツも参考にしてみてください。

「デザインファイルなしで動くUIがほしい」→ v0

個人開発でとにかく速くプロトタイプを動かしたい。

デザインの精度よりも「まず動くものを見せる」が優先。

そういう場面ではv0のスピード感が活きます。

組み合わせという選択肢

実は、1つに絞る必要はありません。

自分の実務では使い分けています。

  • Pencilで叩き台を作り → Figmaで仕上げる
  • Midjourneyでアイキャッチを作り → PencilでUI本体を組む
  • v0でプロトタイプを作り → デザイン確認後にFigmaでリデザイン

ツールを組み合わせると、それぞれの得意領域だけを使えます。

全部を1ツールでやろうとするから「使えない」と感じるのかもしれません。

まとめ:ツール選びの先にある本当の問題

4ツールを全部使って気づいたことがあります。

どのツールを使っても、「なんかイマイチ」は消えませんでした。

Pencilで叩き台を作っても、余白のバランスがおかしければダサい。

Midjourneyで美しい画像を生成しても、UIに組み込む配色設計が雑なら台無し。

v0で動くコードが出ても、階層構造が崩れていたら素人感が出る。

ツールを変えても解決しない問題がある。

それは「出てきたものが良いかどうかを判断する基準」です。

AI時代のデザイナー生き残り戦略でも書きましたが、AIが進化するほど、人間に求められるのは「作る力」ではなく「判断する力」になっていきます。

AIデザインツールが4つあろうが40個あろうが、使う側に判断基準がなければ結果は同じです。

まずは自分の目的に合ったツールを1つ選んで、1タスクだけ試してください。

そしてその出力を見て「ここがダサい」と感じたら、それを言語化してみてください。

余白なのか、階層なのか、配色なのか。

その言語化ができた瞬間から、ツールは「使えないもの」から「使えるもの」に変わります。

5つの判断基準(余白・階層・タイポグラフィ・コントラスト・配色)を体系的に学びたい方のために、「Vibe Codingの落とし穴 — AI生成サイトをプロ品質に仕上げる5つの判断基準」というUdemy講座を準備中です。

参考になれば幸いです。

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