Webデザイナーって、もうやめたほうがいいんだろうか。
画像生成やAIのデザイン生成を試していて、正直、そんなことを考えました。
バナーのファーストビューや、アプリのUIっぽい画面が、プロンプト1行で出てくる。
細かく見れば、まだ破綻はあります。
文字の扱いも甘いし、情報の意味までちゃんと設計されているわけではない。
でも、最初に出てくる「それっぽさ」の速度は、もう人間より圧倒的ですし、
何度かフィードバックを繰り返せば合格点超えも果たせるレベル。
バナーやLP、サイトの見た目を作ってきた人ほど、これはきついなと思います。
余白を整える。配色を合わせる。フォントを選ぶ。写真をいい感じに置く。
これまで「プロっぽく整えられること」自体が、ちゃんと価値になっていました。
私もWeb制作を17年やってきたので、その感覚があります。
だからこそ、結構ぐらつきました。
「Webデザイナー やめとけ」。
本当に知りたいのは、Webデザイナーという職種が残るかどうかだけではないと思います。
自分が今までやってきた作業の、どこまでがAIに置き換わるのか。
見た目を作ること以外で、自分には何が残るのか。
これから目指しても大丈夫なのか?
怖いのは、一つではありませんよね。
私も同じところで立ち止まりました。
ただ、いろいろ試してみて思ったのは、AIと「見た目の上手さ」で張り合うのは、もうかなり厳しいということです。
でもそれは、Webデザイナーが終わるという意味ではありません。
終わり始めているのは、たぶん「見た目だけを作る工程」です。
AIがどれだけ速くなっても、まだ止まったままの工程はあります。
それは、デザインの手前にある「何を、誰に、どう見せるべきか」を決める部分です。
- それっぽいデザインがAIで一瞬で出てくる。Webデザイナーは、もう「やめとけ」が正解?
- 見た目を作ることでやってきた自分は、本当に危ない?
- デザインの経験を、次のどこへ伸ばせばいい?
記事を書いている人

R(アール)
Web制作の現場で17年(現役進行中)。精密栄養カウンセラー。
個人開発をアプリ6本並行しながら、AIと「作る・届ける」を実験しています。
うまくいったことも、月収2,000円みたいな冴えない数字も、隠さず公開中。
教える人ではなく、少し先で転んで戻ってきた人として、あなたと同じ目線で現在地を観測していけたらと思います。
Webデザイナーはやめとけと言われる理由(結論:終わるのは「”それっぽい見た目”を作るだけの工程」)

上で先に答えを書きました。
終わるのは「Webデザイナー」という職種ではなく、その中の「ただ“それっぽい見た目”を作るだけの工程」のほうです。
昔は、余白・配色・フォント・写真選びを整えられるだけでも、十分に価値がありました。
というより、それができる人が少なかった。
見た目を破綻なく整えること自体が、専門性として見られていた時代がありました。
でも今は、そこに近いものをAIやCanvaなどのテンプレートが補います。
問題は、AIが速いことだけではありません。
「それっぽく整える」こと自体が、以前ほど希少ではなくなってきたことです。
だから、職種が丸ごと消えるというより、まず工程単位で値段が崩れていく。
やめとけ論の正体の一つは、たぶんこれです。
結局、”見た目しか作れない自分”が危ない、ってことですよね……

そこ、少し違う気がしていて。危ないのは『しか』のほうより、デザインの力を”見た目を綺麗にすること”だけに使っていることなんじゃないかな
AIが行った方が良い工程 vs まだ人間が見るべき工程(デザイン版)

「それっぽい見た目」を出す初速は、もうAIのほうが速いです。
ここで張り合うと、たぶん消耗するだけ。
私も、しばらく無意識に速さで勝負しようとして、余計に怖くなっていました。
まず、AIが行った方が良い工程から並べます。
- LPのファーストビューのたたき台
- バナーのレイアウト案出し
- 配色・フォントの組み合わせ
- UI画面のモック
- あしらいのバリエーション展開
たたき台は、さっさと出してもらったほうが時間が浮きます。
ここを抱え込んで粘っても、初速では勝てません。
一方で、人間が見るべき工程はこちら。そもそも速さで測る仕事ではありません。
- 誰に向けるかを決める
- 最初に何を見せるかを決める
- どの順番で伝えるかを組む
- どの言葉なら自分ごと化するかを選ぶ
- クライアント本人がまだ言えていない価値を拾う
- 出来上がったものが「誰のためのものか」を判断する
決める。
拾う。
判断する。
AIの初速とは、別の軸の仕事です。
実際、この前提を渡さずにAIにデザインさせると、綺麗なのに「誰のためのものか分からない」ものが出てきます。
ちなみに実装側でも、まったく同じ分かれ方が起きています。
コーダー側の話は双子の記事、フロントエンドエンジニアはオワコンなのか|消えるのは「手を動かすだけの工程」かもしれないに書きました。
では、その「人間が見るべき工程」の正体は何なのか?
デザインの本体は「翻訳」だった——17年で本当に効いた力

最近、「外注していたデザイン費が月数万円から、ほぼ0円になった」というような、クライアント側の成功談を見かけるようになりました。
自分の仕事が”削減されたコスト”として語られている。
正直、見なかったことにしたくなります。
でも、ああいう削減事例をよく読むと、AIやテンプレに置き換えられているのは「見た目を作る部分」だけです。
その手前の工程は、どの事例にも出てきません。
クライアントの話を聞く。
まだ言葉になっていない価値を拾う。
「つまりこういうことですよね」と返す。見る人に伝わる順番に並べる。
最後に、見た目に落とす。
17年やってきて一番喜ばれた瞬間を思い出すと、綺麗なものを早く出せたときより、「ちゃんと理解してくれた」と感じてもらえたときでした。
デザインは、見た目を作る仕事に見えて、実際はかなり「翻訳」に近い仕事だったんです。
正直に言うと、ここに気づくまで、揺れました。
余白と配色とフォントで積み上げてきた17年は、何だったのか。
でも、見た目の上手さを先に譲ってみたら、残っているものが見えました。
効いていたのは、整える手の速さより、クライアントの言葉を構造に変える力のほうだった。
翻訳って言われても、それはヒアリングが得意な人の話では……?

特別な才能ではないと思います。聞いて、整理して、『つまりこうですよね』と返す。難しさはありますが、そこを”工程”として意識できているかどうかは、大きいです
現役のクリエイティブディレクターも、表層は自動化されても「解釈」と「編集」は置き換えられない、という指摘をしています。
方向は同じだと思います。
デザイン経験をデザインの外側に接続する(情報設計・言葉・AIへの指示・検証)

「じゃあ、その手前の判断側へ」と言われると、UI/UXの学び直しやマーケ転向を想像して、重くなりますよね。
そういう大ごとの話ではありません。
もっと手前です。
見た目を作ってきた経験は、デザインの外側にそのまま繋がっています。
クライアントの言葉を聞いて「つまりこうですよね」と構造に変えてきた人は、情報設計とヒアリングの場でそのまま強い。
どのコピーなら刺さるかを見続けてきた目は、言葉選びに効く。
なぜ良く見えるのかを言語化できる人は、AIへの指示がうまくなり、出てきたものの破綻や「誰のためのものか分からなさ」に最初に気づくのも、見た目を作り込んできた人です。
新しいスキルをゼロから覚えるというより、同じ力を別の角度で使い直すだけ。
私自身、見た目を作る時間をAIに譲った分で、自分のアプリやサイトを作って出す側に回り始めています。
そこでもデザインの判断は、そのまま使えています。
ただ、「外側へ」だけだと、まだ少し抽象的ですよね。次は、私が実際に踏んだ最初の半歩を書きます。
最初の半歩は、これくらいでいい(デザインさせる前に、言語化して渡す)

先に言うと、拍子抜けするくらい小さいです。転職も、学び直しも要りません。
私の半歩は、AIにデザインさせる前に、これだけを短く書いて渡すことでした。
- 誰向けか(どんな人が見るのか)
- トーン(どんな印象に寄せたいか)
- 優先情報(最初に何が伝わるべきか)
- 避けたい表現(やってはいけない見せ方)
これらを書いてから渡すと、出てくるものが変わります。
AIが「見た目を作る道具」から、「自分の判断を反映してくれる相棒」に近づく。
手前の判断を自分がやって、作画をAIに渡す形です。
私はこれをプロジェクトごとに1枚のファイルにまとめて運用しています(DESIGN.mdという、Googleが公開したフォーマットがあります。中身は自分で書くものです)。
この半歩の前提になるのが、仕分けです。自分の作業のどこがAIに渡せる見た目で、どこが自分の判断なのか。
一度ちゃんと棚卸ししたくなったら、紙1枚に2列で書き出すやり方もあります。
ただ、それは”やりたくなってから”で十分です。(この棚卸しのシートは、メルマガ登録の特典でも配っています)
とはいえ、ここまで読んでも引っかかりが残っている人はいると思います。
それでも不安な人へ(UI/UXやってる/グラフィック寄り/AIはまだ使えない/感性は残る)

ここでは、不安側の声も、安心側の声も、一度ずつ疑ってみます。
「自分はUI/UXまでやっているから、関係ない」
そう言いたくなる気持ちは、かなり分かります。
ただ、ここでも見たいのは肩書きではなく、実際に自分がどの工程を担っているかです。
もしやっていることが「UIっぽい画面をきれいに並べること」に寄っているなら、見た目の制作工程としては、かなりAIに近い場所にいます。
画面の見た目だけなら、AIはかなり速く出してきます。
でも、誰に、何を、どの順番で見せるのか。
どこで迷わせず、どこで背中を押すのか。
その意味の設計まで自分が決めているなら、話は変わります。
肩書きより、自分がどの判断を引き受けているかを観測したほうがいいです。
「グラフィック寄りだから、Webと違って関係ない」
これも、完全に無関係とは言い切れないと思います。
画像生成の影響は、バナーやキービジュアル、1枚絵のたたき台にもかなり入り込んできています。
ただ、ここでも分かれ目はあります。
それは、文脈とブランドの一貫性です。
なぜこの見た目なのか。
この配色、この余白、この写真、この文字の強さを選んだ理由は何か。
それを言語化できて、複数の制作物で同じ判断を通せるかどうか。
そこまで扱っているなら、単なる1枚絵の生成とは違う仕事になります。
「AIのデザインは、まだ現場でそのまま使えない。だから大丈夫」
半分は、その通りだと思います。
細部の破綻も、日本語の崩れも、実際にあります。
最後に直す手も、まだまだ必要です。
ただ、それだけで安心していいかというと、少し違う気がしています。
納品物としてそのまま使えるかどうかより先に、ラフ案や初稿の価値が先に揺らぐからです。
たたき台を出す速さ、方向性を見せる速さ、複数案を並べる速さ。
そこに価値を置いていた人ほど、先に影響を受ける。
破綻を直せることと、初速で食えることは、別の話です。
「クリエイティブや感性は残る、と上位の記事も言っている」
これも半分は正しいと思います。
ただ、不安と同じで、安心も一度疑ってみたい。
「感性は残る」と言うだけでは、少し足りない気がします。
感性を感性のまま置いておくと、AIへの指示にも、クライアントへの提案にも変換できません。
なぜ良く見えるのか。
どの判断が効いているのか。
何を残し、何を削ったのか。
それを言葉にできて初めて、感性は仕事の道具になります。
残るかどうかより、自分の感性を言語化できているか。
そこを観測したい。
どちら側にいるかを最後に決めるのは、肩書きではなく、自分が引き受けている判断の中身です。
この記事では、Webデザイナーの仕事を「職種」ではなく「工程」で見てきました。
同じ考え方は、実装や働き方にも当てはまります。
- フロントエンドエンジニアはオワコンなのか|消えるのは「手を動かすだけの工程」かもしれない
→実装側でも、AIに渡せる工程と人が決める工程を分けて考えています。 - 消えるのは職種ではなく工程だと気づいた話
→Webデザイナーやエンジニアに限らず、AI時代の仕事を「工程」で見るための記事です。 - 経験がある人ほどAIと組みやすい理由
→これまでの経験を、AIへの指示や判断にどう変換するかを書いています。 - AI時代の働き方を4つのPhaseで分解するガイド
→AI時代の働き方を、全体像から整理したい人向けの記事です
まとめ:自分の工程を観測して、伸ばす一点を決める

ここまでの話を、ひとつにまとめます。
Webデザイナーはやめとけ、は本当なのか?
職種としては、やめとけとは思いません。
AIで終わり始めているのは、「ただ“それっぽい見た目”を作るだけの工程」です。デザインの本体は、翻訳に近い。クライアントのまだ言葉になっていない価値を拾い、誰に、何を、どの順番で伝えるかを決めて、最後に見た目へ落とす仕事です。AIは見た目のたたき台を速く出せます。
でも、「誰に」「何を」「どの順番で」は、勝手には決めてくれません。
今回のテーマは「Webデザイナー やめとけ」でした。
でも、職種が安全かどうかを確かめても、明日の案件は変わりません。
変えられるのは、自分のデザイン力の使い方です。
自分の工程を観測する。
AIに渡せる見た目の工程と、その手前で自分が決めている判断を仕分ける。
そして、次に伸ばす一点を、誰かの正解スキルからではなく、自分の現在地から決める。
それができれば、見た目を作ってきた経験は、AI時代の武器に変わります。
そして、手前の判断側に立てるようになると、クライアントの仕事だけでなく、自分のものを「作って届ける側」にも回れるようになります。
私自身、いまその途中にいます。
Web制作17年の傍らで、個人アプリを8本作りました。
自分のコンテンツも作り、記事も書き、メルマガも用意しました。
ただ、正直に言うと、作れることと、届いて選ばれることの間には、まだ壁があります。
作れる。
でも、届かない。
届けているつもりなのに、選ばれない。
私はいまも毎週そこを越えようとして、外しています。
だから最近は、「AI時代にどう作るか」だけでなく、「作ったものをどう届けるか」まで含めて、観測し直しています。
Webデザイナーを続けるかどうかよりも、自分の経験をどの工程に使うのか。
そして、その経験を誰に届けるのか。
たぶん、次に見るべきなのはそこです。
その続きは、メルマガで書いています。
週1で届くもの
- AIで作って出したものが、なぜ届いた/届かなかったかの観測ログ
- 「綺麗に作れるのに、選ばれない」を構造で見る視点
- 次に作って出す一点の決め方
そして、登録した瞬間に「構造整理シート」と「問い100問」のPDFが届きます。まずは手元で、自分のデザイン作業のどこがAIに渡せて、どこが自分の判断なのかを見るところから始められます。
これを使うとあなたができるようになること
- 自分のデザイン工程を、毎週「AIに渡す側/自分が決める側」に仕分けられる
- いつもの案件のまま、判断側へ半歩ずつ移れる
- その先の「作って、届けて、売る」までの道筋を、私の実例(外した週も込みで)で先に見られる
AI時代のデザインの使い方、一緒に観測しながら見つけていきましょう。
