英語UIで手が止まる問題
n8nの基本を調べて、「これは良さそうだ」と触り始めたとき、最初にぶつかる壁があります。
UIが全部英語です。
「Workflows」「Executions」「Credentials」——単語の意味は分かる。
でも、いざノードを追加してパラメータを設定しようとすると、手が止まります。
「この”Expression”って何を入れるんだ?」「”On Error”の”Continue On Fail”って失敗しても続行でいいの?」
慣れれば読めます。
でも「慣れるまでの摩擦」が、思った以上に大きい。
正直、最初の1週間は英語を読むことに脳のリソースを使いすぎて、肝心のワークフロー設計に集中できませんでした。
「n8n 日本語」と検索した人は、たぶん同じ状態だと思います。
この記事では、n8nのUIを日本語化する方法を、クラウド版・セルフホスト版それぞれ解説します。
n8nの日本語対応状況(2026年2月時点)
結論から言います。
n8nは公式には日本語に対応していません。
これ、意外と知られていない事実です。
n8nのソースコードを見ると、言語ファイルは `en.json`(英語)しか存在しません。
`N8N_DEFAULT_LOCALE=ja` という環境変数は設定できますが、対応する日本語翻訳ファイル(`ja.json`)が公式リポジトリに存在しないため、設定しても何も変わりません。
「え、じゃあ無理なの?」
いいえ。ここで登場するのが、コミュニティの力です。
コミュニティ翻訳プロジェクト
Tomatio13/n8n-i18n-japanese というGitHubプロジェクトが、n8nの日本語翻訳パッケージを公開しています。
このプロジェクトのすごいところは、仕組みが完全に自動化されている点です。
- GitHub Actionsがn8nの新リリースを毎日監視
- 新バージョンが出ると、Gemini APIで翻訳を自動実行
- 翻訳済みの `editor-ui.tar.gz` をGitHub Releasesに公開
2026年2月時点で、n8nの最新安定版は v2.7.5(2026年2月13日リリース)です。
コミュニティプロジェクトはn8nの本体アップデートから数日以内に翻訳版をリリースしており、ほぼリアルタイムで追従しています。
これはうれしい。
ただし、このプロジェクトが使えるのはセルフホスト版のみです。
クラウド版には適用できません。
| 項目 | クラウド版 | セルフホスト版 |
|---|---|---|
| 公式の日本語設定 | なし | なし |
| コミュニティ翻訳 | 使えない | 使える |
| 現実的な方法 | ブラウザ翻訳 | コミュニティパッケージ |
クラウド版の日本語化(ブラウザ翻訳)
クラウド版(n8n.cloud)を使っている場合、公式に言語を切り替える設定はありません。
現実的な選択肢はブラウザの翻訳機能です。
Chromeの場合
- n8nのダッシュボードを開く
- ページ上で右クリック → 「日本語に翻訳」を選択
- アドレスバー右側の翻訳アイコンから「常にこのサイトを翻訳」をオンにする
これで、n8nを開くたびに自動で日本語に翻訳されます。
ブラウザ翻訳の注意点
便利ですが、限界もあります。
- ノード名が変わる: 「HTTP Request」が「HTTPリクエスト」になり、ドキュメントを検索するときに混乱する
- コードが壊れる: Expression欄やCode Nodeの内容まで翻訳されて、ワークフローが動かなくなることがある
- ちらつく: ページ遷移のたびに英語→日本語の変換が走り、UIがちらつく
ぶっちゃけ、ブラウザ翻訳は「ないよりマシ」程度です。
本格的に日本語で使いたいなら、セルフホスト版に切り替えることをおすすめします。
セルフホスト版のDocker構築手順はn8nのDocker Compose構築で詳しく解説しています。
セルフホスト版のn8n 日本語化手順
ここからが本題です。
Docker Composeでn8nをセルフホストしている環境に、コミュニティの日本語パッケージを導入します。
所要時間は約5分。
やることは3ステップだけです。
ステップ1:翻訳パッケージをダウンロード
まず、コミュニティプロジェクトのリリースページから、自分のn8nバージョンに合った `editor-ui.tar.gz` をダウンロードします。
# n8nのディレクトリに移動(例:/opt/n8n)
cd /opt/n8n
# 翻訳パッケージをダウンロード(バージョンはn8nに合わせて変更)
curl -L -o editor-ui.tar.gz \
"https://github.com/Tomatio13/n8n-i18n-japanese/releases/download/n8n%402.7.5/editor-ui.tar.gz"重要:n8n本体のバージョンと翻訳パッケージのバージョンを必ず合わせてください。
バージョンが違うと、UIが壊れたり表示が崩れたりします。
現在のn8nバージョンは、n8nの画面左下またはSettings → About で確認できます。
ステップ2:翻訳パッケージを展開
ダウンロードしたファイルを展開します。
# 展開先ディレクトリを作成
mkdir -p editor-ui-dist
# 展開
tar xzf editor-ui.tar.gz -C editor-ui-distステップ3:docker-compose.ymlを編集して起動
`docker-compose.yml` に2つの設定を追加します。
- `N8N_DEFAULT_LOCALE=ja`(環境変数)
- 翻訳済みUIファイルのボリュームマウント
この2つはセットで必要です。
環境変数だけでは翻訳ファイルが存在しないため英語のまま。
翻訳ファイルだけでは日本語ロケールが有効にならないため英語のまま。
両方設定して初めて日本語UIが有効になります。
services:
n8n:
image: n8nio/n8n:2.7.5
environment:
- N8N_DEFAULT_LOCALE=ja
volumes:
- ./editor-ui-dist:/usr/local/lib/node_modules/n8n/node_modules/n8n-editor-ui/dist
- n8n_data:/home/node/.n8n
ports:
- "5678:5678"既存の `docker-compose.yml` がある場合は、`environment` に `N8N_DEFAULT_LOCALE=ja` を追加し、`volumes` にマウント行を追加するだけです。
設定が終わったら、コンテナを再起動します。
docker compose down && docker compose up -dブラウザでn8nを開き直すと、UIが日本語になっているはずです。
初めて日本語UIを見たとき、正直、驚きました。
サイドバーもボタンもダイアログも、ちゃんと日本語になっている。
「ワークフロー」「実行履歴」「設定」——読める。
それだけで操作スピードが体感で1.5倍くらい上がります。
n8n 日本語化のビフォー・アフター
具体的にどこが日本語になるのか、まとめます。
日本語になる部分
| 箇所 | 英語(Before) | 日本語(After) |
|---|---|---|
| サイドバー | Workflows | ワークフロー |
| サイドバー | Executions | 実行履歴 |
| サイドバー | Settings | 設定 |
| ボタン | Save | 保存 |
| ボタン | Execute Workflow | ワークフローを実行 |
| ボタン | Cancel | キャンセル |
| ダイアログ | Are you sure? | 本当に実行しますか? |
| フォーム | Name | 名前 |
| ノード表示名 | (一部)Schedule Trigger | スケジュールトリガー |
サイドバー、ボタン、フォームラベル、ダイアログ——日常的に触る部分はほぼカバーされています。
日本語にならない部分
一方で、翻訳されない領域もあります。
- バックエンドのエラーメッセージ: サーバー側で生成されるエラーは英語のまま
- ノードのサブタイトル: ノード設定パネル内の補足説明は英語
- 動的オプション: APIから取得されるドロップダウンの選択肢(loadOptionsMethod)は英語
- Webhook URL・API応答: 技術的な文字列はそのまま
- Expression関数名: `$json`, `$input` などの関数名は当然英語
- 公式ヘルプリンク: リンク先の公式ドキュメントは英語
体感としては、UIの70〜80%が日本語化されるイメージです。
操作に直接関わる部分はほぼ日本語になるので、実用上の不便はほとんどありません。
エラーメッセージが英語でも、エラー文をそのままGoogle検索すれば解決策が出てくるので、むしろ英語のほうが便利なくらいです。
日本語設定の注意点と限界
導入は簡単ですが、いくつか知っておくべきポイントがあります。
バージョンの一致が必須
これが一番大事です。
n8n本体のバージョンと、翻訳パッケージのバージョンは完全に一致させてください。
n8n本体: 2.7.5 → 翻訳パッケージ: n8n@2.7.5 ✅
n8n本体: 2.7.5 → 翻訳パッケージ: n8n@2.6.0 ❌(UIが崩れる可能性)n8nをアップデートするときは、翻訳パッケージも同じバージョンに更新する必要があります。
手順は初回と同じで、新しい `editor-ui.tar.gz` をダウンロードして展開し直すだけです。
更新の自動化
手動で毎回ダウンロードするのが面倒なら、シェルスクリプトで自動化できます。
#!/bin/bash
# n8n日本語パッケージ更新スクリプト
# docker-compose.yml と同じディレクトリで実行してください
N8N_VERSION=$(docker inspect --format='{{.Config.Image}}' $(docker compose ps -q n8n) | cut -d: -f2)
DOWNLOAD_URL="https://github.com/Tomatio13/n8n-i18n-japanese/releases/download/n8n%40${N8N_VERSION}/editor-ui.tar.gz"
echo "n8n version: ${N8N_VERSION}"
echo "Downloading: ${DOWNLOAD_URL}"
curl -L -o editor-ui.tar.gz "${DOWNLOAD_URL}"
rm -rf editor-ui-dist
mkdir -p editor-ui-dist
tar xzf editor-ui.tar.gz -C editor-ui-dist
docker compose restart n8n
echo "Done. Japanese UI updated for n8n ${N8N_VERSION}"コミュニティプロジェクトへの依存
翻訳パッケージはコミュニティの個人プロジェクトです。公式サポートはありません。
- プロジェクトがメンテナンスされなくなる可能性はゼロではない
- 翻訳品質はGemini APIによる機械翻訳がベース
- 一部の訳語が不自然な箇所がある場合もある
とはいえ、2026年2月時点でGitHub Actionsが毎日稼働し、最新リリースにも数日で追従しています。
活発にメンテナンスされているプロジェクトです。
まとめ
n8nの日本語化について整理します。
- 公式の日本語対応: なし(2026年2月時点)
- クラウド版: ブラウザ翻訳で対応。実用度は「ないよりマシ」レベル
- セルフホスト版: コミュニティプロジェクトで日本語UI化が可能。UIの70〜80%が日本語になる
- 導入にかかる時間: 約5分(ダウンロード → 展開 → docker-compose.yml編集 → 再起動)
- 注意点: n8n本体と翻訳パッケージのバージョンを合わせること
英語UIが理由でn8nを敬遠していたなら、まじでもったいないです。
日本語UIにするだけで、ワークフローの構築に集中できるようになります。
n8nの基本概要についてはn8nとは? 読み方・できること・Zapierとの違い、セルフホスト環境の構築はn8nのDocker Compose構築ガイドで解説しています。
他の自動化ツールとの比較はAI自動化ツール4強比較やn8n vs Dify 徹底比較もあわせてどうぞ。
参考になれば幸いです。

