いきなり作り始めて、失敗した
「これ、誰が使うの?」
完成した資料を見せたとき、上司にそう言われました。
徹夜で作った企画書。
見た目もきれいに整えた。データも揃えた。
でも、肝心の「誰のために」が抜け落ちていた。
私はずっと「作ること」から始めていました。
アイデアが浮かんだら、すぐ形にする。
手を動かすのが好きだから、考えるより先に作り始める。
でも、それが失敗の原因だったんです。
「相手を理解することから始める」
この順番を変えただけで、結果が変わりました。
その考え方の軸になったのが「デザイン思考」です。
第1章:デザイン思考とは何か
デザイン思考と聞くと、デザイナーのための手法だと思われがちです。
違います。
デザイン思考は「相手の視点で問題を捉え直す」考え方です。
- 自分が作りたいものを作るのではなく
- 相手が本当に必要としているものを探す
この姿勢が、あらゆる問題解決を変えてくれます。
5つのステップ
デザイン思考には5つのステップがあります。
- 共感(Empathize) — 相手の立場に立つ
- 定義(Define) — 本当の問題を見つける
- 発想(Ideate) — 可能性を広げる
- 試作(Prototype) — 小さく形にする
- 検証(Test) — フィードバックを得る
この流れは一方向ではありません。
検証で気づいたことが、共感に戻ることもある。
行きつ戻りつしながら、本当に必要なものに近づいていきます。
→ 5つのステップを詳しく解説した記事
第2章:共感から始める理由
なぜ「共感」が最初なのか。
自分の思い込みを外すためです。
私たちは無意識に「こうだろう」と決めつけています。
「ユーザーはこういう機能が欲しいはずだ」
「お客様はこういう情報を求めているはずだ」
「部下はこう考えているはずだ」
でも、その「はず」は、自分の頭の中にしか存在しない。
共感とは観察すること
共感というと「相手の気持ちになる」と思われがちです。
でも、それだけでは不十分です。
共感とは、相手を観察すること。
- 言葉だけでなく、行動を見る
- 表面的な要望ではなく、本当の困りごとを探る
- 自分の解釈を挟まず、事実を集める
この観察が、問題の本質を見つける手がかりになります。
→ 共感の深め方を詳しく解説した記事
第3章:発散と収束
デザイン思考の特徴は「発散」のフェーズがあることです。
普通、問題解決というと「答えを絞り込む」イメージがあります。
でも、いきなり絞り込むと、可能性を潰してしまう。
まず広げる、それから絞る
- 発散:批判せずにアイデアを出す。量を重視する
- 収束:基準を設けて絞り込む。質を重視する
この順番が大切です。
「AかBか」で迷っているとき、本当はCやDの選択肢があるかもしれない。
発散のフェーズで可能性を広げておくと、思いもよらない解決策が見つかることがあります。
発想力は鍛えられる
「自分は発想力がない」と思っている人がいます。
でも、発想力は才能ではなく、技術です。
- 視点を変える
- 組み合わせを変える
- 制約を外す
これらの「型」を知っていれば、アイデアは出せるようになります。
→ 発想力の鍛え方を詳しく解説した記事
第4章:小さく試す
アイデアが出たら、すぐに完成形を作ろうとしていませんか?
私はそうでした。
だから、作り直しが多かった。
デザイン思考では「プロトタイプ」を重視します。
完璧なものを作る前に、小さく試す。
- 紙に描いたスケッチ
- 簡単なモックアップ
- 最小限の機能だけ実装したもの
これを見せて、フィードバックをもらう。
そこで気づいたことを反映して、また試す。
この繰り返しが、無駄を減らしてくれます。
失敗を小さくする
プロトタイプの目的は「早く失敗すること」です。
完成してから「違った」と気づくより、
試作の段階で「違った」と気づく方が、傷は浅い。
小さく試して、小さく失敗して、小さく修正する。
これがデザイン思考のリズムです。
エピローグ:共感は、作ることの一部
「相手を理解することから始める」と書きました。
でも、誤解しないでほしいのは、「理解してからでないと作れない」ということではないということ。
考えることも、作ることの一部です。
- 共感するために観察する
- 定義するために言語化する
- 発想するためにアイデアを出す
- 試作するために手を動かす
- 検証するためにフィードバックを求める
これらすべてが「作る」というプロセスに含まれています。
いきなり完成形を作ろうとするのではなく、
小さなステップを積み重ねて、本当に必要なものに近づいていく。
それがデザイン思考の本質だと思っています。
もう少し深く学びたい方へ
この記事で紹介した「問題を捉え直す」という考え方は、デザイン思考に限った話ではありません。
「問いの技術」— 行動を増やす前に立てるべき2つの問い
「何を解決すべきか」を整理するためのフレームワークをまとめたPDFを用意しています。
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