「名前は知ってるけど…」の壁を越える
「n8n」「Agent Builder」「Dify」「Opal」——これらのツール名をXやブログでよく見かけるようになってきていませんか??
AIや自動化に興味があって情報は追っているけれど、実際に触ってみるとなると「何が違うのか」「自分に何が合っているのか」がよく分からない。
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、2025年現在注目されている4つのAI自動化ツールを徹底的に比較します。
専門用語はできるだけ避け、初心者の方でも理解できるように丁寧に解説していきます。
読み終わる頃には、あなたに最適なツールが見つかり、今日からAI自動化の第一歩を踏み出せるはずです。
そもそもAI自動化ツールって何ができるの?
まずは基本から整理しましょう。
AI自動化ツールとは、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)を使って、様々な作業を自動化するためのプラットフォームです。
具体的には、こんなことができます。
- メールの内容を読み取って、重要度に応じて自動返信する
- Slackに投稿された質問に、社内ドキュメントを参照しながら回答する
- Webサイトから情報を収集して、レポートを自動生成する
- カスタマーサポートのチャットボットを作成する
従来のツールとの大きな違いは、「AIが文脈を理解して判断できる」という点です。単純な条件分岐ではなく、自然な言葉でやり取りしながら複雑な処理を実行できるのが特徴です。
4つのツール完全比較

それでは、本題に入りましょう。以下の表で4つのツールの基本情報を一覧にまとめました。
| 項目 | n8n | Agent Builder | Dify | Opal |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | n8n GmbH(ドイツ) | OpenAI(アメリカ) | Dify.AI | Google(Google Labs) |
| 主な用途 | ワークフロー自動化 | AIエージェント作成 | LLMアプリ開発 | ノーコードでAIミニアプリ作成(エージェント的ワークフロー) |
| 料金 | 無料〜(セルフホスト可) | ChatGPT Plus必要(月$20) | 無料〜(クラウド/セルフホスト) | 無料(Labs実験版) |
| 日本語対応 | 英語(UI翻訳可) | 英語 | 一部日本語 | 英語(日本から利用可) |
| 難易度 | 中級者向け | 初心者向け | 中級者向け | 初心者〜中級者向け(ノーコード) |
| 特徴 | 400以上のアプリ連携 | OpenAIネイティブ | RAG機能が強力 | 自然言語→ビジュアルフロー、共有ギャラリー、テンプレ多数 |
この表だけ見ても、まだピンと来ないかもしれません。それぞれのツールについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
n8n:ワークフローとAIの融合
n8nとは
n8nは、元々ワークフロー自動化ツールとして誕生しました。
ZapierやMake(旧Integromat)などの競合として知られ、オープンソースでセルフホスト可能な点が特徴です。
AI機能が大幅に強化され、LLM(大規模言語モデル)を組み込んだワークフローが構築できるようになりました。
これにより、ChatGPTやClaude、CohereなどのAIをノードとして扱うことが可能になり、AIと業務自動化の融合が一気に進化しています。
何ができるのか
n8nの最大の強みは、400以上のアプリケーション連携です。
Google Sheets、Slack、Notion、GitHub、Trelloなど、ビジネスで利用頻度の高いツールとシームレスに接続できます。
例:AIを組み込んだワークフロー
- Gmailで特定の件名のメールを受信
- メール本文をChatGPTで要約
- 要約結果をSlackに通知
- 重要度が高い場合はNotionにタスクを自動作成
ビジュアルエディタで各ステップを「ノード(箱)」として配置し、線で繋ぐだけの直感的な操作で自動化が可能です。
プログラミング不要で複雑なロジックを構築できるのが大きな魅力です。
AI連携の仕組み
現時点でのn8nのAI機能は、外部LLMとのAPI接続が中心です。
OpenAI(ChatGPT)、Anthropic(Claude)、CohereなどをAPIキーで接続し、テキスト生成や要約、分類などをワークフローに組み込めます。
💡 n8n自体に独自のAIモデルは搭載されていません。
あくまで「AIを呼び出すための統合プラットフォーム」として機能します。
🆕 新機能:AI Workflow Builder(Beta)※追加情報
n8n に画期的な機能がベータ段階で導入されつつあります。
それが AI Workflow Builder(Beta) です。
Classmethod の記事では、この機能の動きや可能性がわかりやすく解説されています。
主な特徴・動作イメージ:
- 自然言語 → ワークフロー構造(JSON) への変換
文章でやりたいことを伝えると、自動的にワークフロー構造が生成され、その JSON を n8n に貼ることでワークフロー化できる補助ツール。 - ノードやステップを自動提案
入力・処理・出力などのノードを自動で割り振る支援が行われる可能性あり。 - 補助的な性質が強い現時点
完全自動化や既存ワークフローの変換をさせる段階にはまだ達しておらず、あくまで設計支援の域。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 既存のアプリを連携させて自動化したい人 | 対話型のAIチャットボットを簡単に作りたい人 |
| 複雑な業務フローをノーコードで組みたい人 | プログラミングやサーバー管理が苦手な人 |
| セルフホストで自社データを安全に扱いたい人 | 日本語ドキュメントやサポートが必須な人 |
※AI Workflow Builder(Beta)次第では変更がありますが、まだリリースされたばかり&ベータ版なので最新情報を確認することをお勧めします。
料金体系
n8nは以下の2つの利用形態があります。
| プラン | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| セルフホスト版 | 自分のサーバーにインストールして利用 | 無料(制限なし) |
| クラウド版 | n8n公式のクラウドで管理・運用 | 月額 $20〜 |
セルフホスト版ではデータを外部に出さずに運用できるため、セキュリティを重視する企業にも人気です。
まとめ
n8nは、「ノーコード × AI × 自動化」を実現する最強クラスのワークフローツールです。
特にAIノードが追加されたことで、メール処理・要約・分類・通知などの一連の流れをAIが判断して自動化できるようになりました。
💬 「AIに指示して、アプリが動く」
そんな未来の業務フローを、今すぐ自分の環境で再現できるのがn8nの魅力です。
OpenAI Agent Builder:OpenAIの手軽なエージェント作成
― DevDay 2025で発表されたAIエージェント構築の新しい形 ―
2025年OpenAI DevDay 2025 で、OpenAIは次世代のAI開発ツール群「AgentKit」を発表しました。
その中核となるのが、ノーコード/ローコードでAIエージェントを構築できる 「Agent Builder」 です。
これは従来の「ChatGPT内カスタムGPT(GPTs)」の発展形であり、より柔軟なAPI連携・データ統合・UI構築が可能になりました。
Agent Builderとは
Agent Builderは、専門知識がなくてもAIエージェントを作成・公開できる開発環境です。
自然言語での指示を中心に、OpenAIが提供する各種モジュール(ChatKit・Connector Registry・Guardrailsなど)を組み合わせて、タスク実行型のエージェントを作ることができます。
たとえば以下のようなエージェントを簡単に構築可能です。
- 顧客対応チャットボット(CRMシステム連携)
- 社内データを活用したFAQ応答AI
- ワークフロー自動化(メール → 要約 → Slack通知など)
- 専門分野特化の知識アシスタント
背景と位置づけ
これまでのAI開発では、プロンプト設計・API実装・外部連携設定を個別に行う必要がありました。
Agent Builderはそれらを統合し、ChatGPTとOpenAI APIの中間層として機能します。
また、同時発表された AgentKit により、開発者はNode.js/Pythonベースでの細かな制御も可能になっています。
Agent BuilderはそのGUI版として位置づけられ、ChatGPTユーザーが手軽にAIエージェントを構築・共有できる環境です。
機能構成
| コンポーネント | 概要 |
|---|---|
| Agent Builder | エージェントの設計・管理を行うGUIツール |
| ChatKit | 対話インターフェースの生成API |
| Connector Registry | Google SheetsやSlackなど外部ツール連携モジュール |
| Guardrails | 出力制御・安全性の管理機能 |
| Agent Runtime | エージェント実行のための基盤(OpenAI Cloud上) |
料金体系
Agent Builder自体の利用は 無料(ベータ期間中)ですが、
エージェント実行時にはAPI使用量に応じた従量課金が発生します。
💡注意
プレビュー・テスト段階でも実際にAPIコールが行われる場合は料金が発生します。
また、商用利用時は通常のOpenAI API規約に従う必要があります。
GPT-5との関係
Agent Builderは GPT-5 Pro / GPT-4.1 Turbo などの最新モデルと連携可能ですが、
「完全統合」というよりは「利用可能なモデルの一つとして統合された」段階です。
GPT-5は現時点(2025年10月)では Private Beta 扱いのため、すべてのユーザーが利用できるわけではありません。
特徴と強み
- 💬 自然言語による構築(コード不要)
- ⚙️ 豊富な外部ツール連携(Connector Registry経由)
- 🔐 安全な出力管理(Guardrails)
- 🌍 ChatGPT内から直接エージェントを公開可能
- 🧩 AgentKitによる拡張性(開発者向けSDKあり)
利用に向いている人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| ChatGPTを業務に活用している個人・チーム | 完全ノーコードで全自動化を期待する人 |
| 自社データを活かしたAIツールを試作したい | プログラミングや構造理解を避けたい人 |
| API課金モデルに抵抗がない | 無料で常時利用したい |
まとめ
Agent Builderは、「AIを使う」から「AIを作る」へ という変化を象徴するツールです。
従来のChatGPTに比べ、設計・連携・管理の自由度が格段に向上しています。
正式版の提供が進むことで、個人でも自社レベルのAIプロダクトを作る未来がすぐそこまで来ています。
📘 参考情報
- OpenAI Official Blog: “Introducing AgentKit and Agent Builder” (2025.10.6)
- AgentKit GitHub Repository (OpenAI Developers)
- ExaWizards編集部記事(2025年10月版)参照・補正済
Dify:LLMアプリ開発のオールインワンプラットフォーム
Difyとは
Dify は、LLM(大規模言語モデル)を活用したアプリケーションを開発・運用できる オープンソースプラットフォーム です。
開発元は中国のスタートアップ LangGenius で、2023年に登場して以来、世界的に注目を集めています。
AIアプリ開発の「バックエンド+管理+UI」を統合する構成で、プロトタイプから本番運用までをワンストップで実現します。
何ができるのか
Dify は、AIアプリ開発に必要な要素を一つの環境に統合しています。特に強力なのが RAG(Retrieval-Augmented Generation) 機能です。
RAGは、外部の知識ベース(PDF・Web・Notionなど)を参照しながら、より正確な回答を生成する仕組みです。
以下のようなアプリを構築できます:
- 自社製品マニュアルを学習したQ&Aチャットボット
- 過去記事を参照しながら新しい文章を生成するライティング支援ツール
- 社内規定やFAQを検索して回答する人事相談Bot
- データベース・API連携を組み込んだ業務支援AIツール
さらに、Difyは複数のLLMプロバイダーをサポートしています。
OpenAI(GPTシリーズ)、Anthropic(Claude)、Google(Gemini)、Meta(Llama系)、Hugging Faceモデル、ローカルLLM などを柔軟に切り替えられます。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 知識ベースを活用したAIアプリを作りたい | プログラミングやサーバー構築に慣れていない |
| 複数のLLMを使い分けたい | 英語や中国語のドキュメントが苦手 |
| 独自のUIやAPI連携を組み込みたい | 既存のSaaS連携のみを想定している |
| プロトタイプから商用レベルまで拡張したい | 完全ノーコード環境を求めている |
料金体系
| プラン | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| セルフホスト版 | 自分のサーバーにインストールして利用。機能制限なし | 無料 |
| クラウド版 無料枠 | 月200メッセージまでの試用プラン | 無料 |
| 有料プラン(Pro) | 月額 約$59〜。チーム利用・高負荷運用に対応 | 有料 |
| Enterprise | カスタム構成/専用サポート | 要問い合わせ |
💡 注意点
- プレビュー・テスト時のAPI呼び出しでも使用量に応じた課金が発生する場合があります。
- 商用利用時はOpenAIなど外部モデルAPIの料金も別途必要です。
まとめ
Dify は、RAG・複数LLM・セルフホスト対応という3拍子がそろった本格派プラットフォームです。
エンジニアだけでなく、データ活用やAI導入を進めたい企業にとっても強力な選択肢になります。
「ChatGPTを使う」から「自分のAIアプリを作る」へ。
Dify は、そのステップを最短距離で実現してくれる環境です。
あなたに合ったツールの選び方
ここまで4つのツールを見てきましたが、結局どれを選べばいいのでしょうか?
以下の参考を元に、自分に合ったツールを見つけてみましょう。
| ニーズ | おすすめツール | 特徴 |
|---|---|---|
| 業務アプリや外部連携を自動化したい | n8n | 400以上の連携先、セルフホスト可能 |
| ChatGPT上で手軽にAIエージェントを作りたい | Agent Builder | OpenAI公式 |
| 知識ベースや独自LLMを活かしたアプリを作りたい | Dify | RAG対応、複数LLM切り替え可 |
| 日本語UI・簡単操作を重視したい | Opal(Google Labs) | ノーコード構築、ビジュアル編集対応(実験版) |
向いている人・向いていない人(総まとめ)
| ツール | 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|---|
| n8n | 既存アプリを連携させたい/サーバーを自分で管理したい | 日本語ドキュメントが必須/ノーコード完全志向の人 |
| Agent Builder | ChatGPT環境で素早くAIを作りたい/コードに触れたくない | 外部連携を含む複雑なシナリオを構築したい |
| Dify | 知識ベースを活かした高度なAIアプリを作りたい/複数LLMを使いたい | 完全ノーコード/英語・中国語が苦手な人 |
| Opal(Google Labs) | ノーコードでAIミニアプリを作りたい/将来性あるGoogle製を試したい | 安定稼働や商用利用を今すぐ求める人 |
まとめ
| ニーズ | おすすめ | 特徴 |
|---|---|---|
| 外部連携と自動化 | n8n | ワークフロー中心、セルフホスト可能 |
| 手軽にAIエージェントを試す | Agent Builder | ChatGPT Plusで即利用 |
| 知識ベースを活用 | Dify | RAG・複数モデル対応 |
| ノーコードでAIアプリを構築 | Opal(Google Labs) | 実験的、ビジュアル編集対応 |
初心者が最初につまずくポイントと対策
実際に始めてみると、いくつかの壁にぶつかるかもしれません。よくあるつまずきポイントと対策をまとめました。
つまずきポイント1:APIキーの取得
多くのツールで、OpenAIなどのAPIキーが必要になります。初めての方は「APIキーって何?」となりがちです。
対策:
APIキーは、外部サービスを利用するための「パスワード」のようなものです。OpenAIの場合、公式サイトでアカウントを作成し、ダッシュボードから発行できます。最初は無料クレジットが付与されるので、試しに使ってみましょう。
つまずきポイント2:プロンプトの書き方
AIに指示を出す「プロンプト」の書き方が分からず、期待した結果が得られないことがあります。
対策:
最初は具体的な例を真似するのが近道です。各ツールの公式ドキュメントやコミュニティには、テンプレートが豊富に用意されています。それをベースに、少しずつ自分なりにカスタマイズしていきましょう。
[AI開発でよくある落とし穴](../ai-development-pitfall)でも詳しく解説していますが、プロンプト設計は試行錯誤が大切です。つまずきポイント3:セルフホストの設定
n8nやDifyをセルフホストする場合、サーバーの設定で躓くことがあります。
対策:
最初はクラウド版から始めるのがおすすめです。無料プランでも十分に試せます。セルフホストは、ある程度慣れてから挑戦しても遅くありません。
つまずきポイント4:何を作ればいいか分からない
ツールは選んだものの、具体的に何を作ればいいのか分からず、手が止まってしまうことがあります。
対策:
まずは小さく始めましょう。「毎日のニュースを要約してSlackに送る」「特定のキーワードを含むメールを自動分類する」など、自分の日常業務でちょっと面倒だと思っていることを自動化してみてください。
まとめ:まず一つ、試してみよう

この記事では、n8n、OpenAI Agent Builder、Dify、Opalの4つのAI自動化ツールを比較してきました。それぞれに特徴があり、得意分野が異なります。
- n8n:外部アプリ連携に強い、実務志向のワークフロー自動化ツール
- Agent Builder(OpenAI):ChatGPT上で最短でAIエージェントを作れる公式ツール
- Dify:RAGや複数LLM対応など、知識ベース活用に特化した開発者向けプラットフォーム
- Opal(Google Labs):ノーコードでAIミニアプリを構築できる実験的プラットフォーム
大切なのは、完璧を目指さず、まず一つ選んで触ってみることです。
どのツールも無料プランや試用期間があるので、リスクなく試せます。
最初の一歩を踏み出せば、AIがあなたの日常業務をどう変えるか、具体的にイメージできるはずです。
私も調べながら、試しながらの最中です。
自分はn8nがあってそうなのですが、別のご意見や誤情報など見つけましたらお知らせいただけますと幸いです。

