冬になると現れる「宙ぶらりんの不調」

冬になると、どこか調子が上がらない。
朝起きるのがつらい、気分が沈みがち、なんとなくエネルギーが出ない。
そんな感覚を覚える方は少なくないかもしれません。
でも、健康診断では特に何も出ない。
数値は正常範囲内で、医師からも「問題ありませんね」と言われる。
この「宙ぶらりんの不調」をどう捉えればいいのか、戸惑う方もいるのではないでしょうか。
病気ではないけれど、万全でもない。
そういう状態が、冬という季節には起こりやすいように思います。
日照時間という環境の変化

冬の不調を考えるとき、一つ見落としがちな視点があります。それは、日照時間という環境の変化です。
私たちの体は、日光を浴びることでビタミンDを生成します。
ところが冬になると、日照時間が短くなり、この生成が難しくなります。
研究によると、札幌の冬では必要なビタミンDを生成するのに139分もの日光浴が必要とされています。
現実的に、それだけの時間を屋外で過ごすのは難しいでしょう。
厚生労働省のデータによれば、日本人の多くが冬季にビタミンD不足傾向にあるという報告があります。
つまり、冬に調子が上がらないのは、もしかすると環境の変化に体が追いついていないだけなのかもしれません。
サプリ一択への、小さな違和感

「ビタミンDが足りないなら、サプリで補えばいい」。
そう考えるのは自然なことです。
実際、サプリメントは手軽で効率的な選択肢の一つです。
ただ、サプリを始めてみると、いくつかの小さな引っかかりが出てくることもあります。
飲み忘れる日が続く、効果があるのかよくわからない、そもそも毎日何かを「飲まなければならない」ことへの違和感。
サプリが悪いわけではありません。
でも、「サプリ一択」という選択肢しか持っていないと、続かなかったときに「また失敗した」と感じてしまうこともあるかもしれません。
食事という「戻れる場所」

サプリの前に、まず食事という選択肢があります。
これは「サプリより食事が優れている」という話ではなく、「戻れる場所がある」という安心感の話です。
毎日の食事は、特別な意識がなくても続いていくものです。
そこに少しだけ意識を向けてみる。
それだけで、サプリを飲み忘れたときも「まあ、食事で少しは摂れているか」と思える。この余裕が、健康への取り組みを長く続けるコツなのかもしれません。
ビタミンDを多く含む食材として、魚類や卵がよく挙げられます。
でも、もう一つ、意外と知られていない選択肢があります。
舞茸という選択肢について

舞茸は、きのこ類の中でもビタミンDを特に多く含む食材です。文部科学省の食品成分データベースによると、生の舞茸100gあたり4.9μgのビタミンDが含まれています。これは、1日の目安量(8.5μg)の約58%に相当します。
参考までに、しいたけは100gあたり0.3μg、えのきは0.9μg。舞茸はきのこ類の中で群を抜いています。
ただし、注意点もあります。
きのこ類に含まれるビタミンDは「D2」という形で、魚や日光から得られる「D3」とは少し異なります。
D2はD3と比べて体内での働きが異なるとされているため、「舞茸を食べればビタミンD不足が解消される」とは一概には言えません。
それでも、「スーパーで見かけたら買ってみる」「味噌汁に入れてみる」くらいの気軽さで取り入れられるのが、舞茸の良いところではないでしょうか。
精密栄養シリーズの他の記事でも、こうした「生活の中で試せる選択肢」について書いています。
おわりに:試してみる、という構え

冬の不調に対して、「原因不明のまま我慢する」でも「サプリで一気に解決」でもない、第三の選択肢があります。
それは、環境の変化を意識しながら、自分なりの対処法を持っておくこと。
舞茸をスーパーで見かけたとき、ふと思い出すだけでいいのです。
「そういえば、ビタミンD多いんだったな」と。買っても買わなくてもいい。
でも、選択肢として知っておくことで、冬との付き合い方が少し変わるかもしれません。
「試してみる」という構えを持つこと。それ自体が、自分の体との対話の始まりなのかもしれません。
健康改善に疲れたときの向き合い方についても、別の記事で書いています。
完璧を目指さない姿勢は、こうした小さな選択肢を持つことから始まるのかもしれません。
この記事が、冬の過ごし方を考えるきっかけになれば幸いです。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスを提供するものではありません。
体調に不安がある場合は、医療専門家にご相談ください。
栄養素の摂取量には個人差があり、持病のある方や妊娠中の方は特に注意が必要です。
参考文献
- 日本人の食事摂取基準 – 厚生労働省
- 食品成分データベース – 文部科学省
- 国民健康・栄養調査 – 厚生労働省

