【カメラ初心者】vol.02:レンズの基礎知識:焦点距離と絞りを理解しよう


カメラ初心者にとって、レンズの「焦点距離」と「絞り」は、最初は少し複雑に感じるかもしれません。

ですが、これらを理解することで、写真撮影の幅が大きく広がります。

今回は、ミラーレス一眼カメラを前提に、焦点距離と絞りの基本を解説し、その関係性についても分かりやすく整理していきます。この記事を読み終えたころには、これらの概念がスッキリと整理されているはずです。

焦点距離と絞りの関係

焦点距離は、写真の中で被写体がどれくらい大きく映るか、また、どれくらいの範囲を写せるか(画角)を決める要素です。一方、絞りは、レンズを通る光の量を調整し、背景のボケ具合(ぼかし効果)に影響を与えます。

これらを理解してうまく使えるようになると、自分がイメージした通りの写真を撮れるようになります。

カメラのAutoモードでは、焦点距離や絞りなどの設定をカメラが自動的に調整してくれます。

スマートフォンのカメラもほとんどがこの仕組みを採用しています。

しかし、これらの設定を自分で調整することで、「良い写真が撮れた!」という偶然を、「思い通りの写真が撮れる!」という確信に変えることができるようになります。

写真を撮る際には、焦点距離や絞り以外にもさまざまな設定がありますが、まずはこの二つの関係を理解し、自分で選んで撮影できるようになることが大切です。

この記事では、焦点距離と絞りの基本をシンプルに整理して分かりやすく解説します。これを読んで、撮影時に迷わず自分の意図に合わせた設定ができるようになることを目指しましょう。

焦点距離とは?

焦点距離とは、レンズの中心からカメラのセンサーまでの距離を指します。この距離によって、写真に写る範囲や被写体の見え方が変わります。簡単に言うと、焦点距離が短いと広い範囲が写り、焦点距離が長いと遠くのものを大きく写すことができます。焦点距離は「mm(ミリメートル)」で表され、レンズに「18-55mm」や「50mm」などの形で示されています。

広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズ

広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズの違いとよく使われるシチュエーションについて解説します。

  • 広角レンズ: 焦点距離が短く(一般的に35mm以下)、広い範囲を撮影することができます。風景や建物など、大きな被写体を一枚の写真に収めたいときに使われます。
  • 標準レンズ: 焦点距離が中程度(約35mmから70mm)で、人間の目に近い見え方をします。ポートレートやスナップ写真に適しています。
  • 望遠レンズ: 焦点距離が長く(70mm以上)、遠くの被写体を大きく撮影できます。スポーツや動物の撮影など、離れた場所から被写体を捉えたいときに使われます。

撮りたい被写体が決まっている方は、被写体にあったレンズを選びましょう。

もし、よくわからない場合は、標準レンズとして代表的な50mmを選びましょう。

もちろん広角レンズだからポートレートを撮ってはいけない。などの決まりはありません。表現方法によってあえて使うケースもあります。

しかし、まずは撮影する被写体は、一般的にはこの焦点距離が使われるんだ!と言うのを知ることが良いでしょう。

焦点距離が、写真に与える影響

焦点距離は、写真の「画角」と「被写体の大きさ」に大きな影響を与えます。

まず、画角についてです。焦点距離が短い(広角レンズ)ほど、カメラが捉える視野が広くなり、広い範囲を一度に撮影することができます。

これにより、風景や建物全体を撮影するのに適しています。反対に、焦点距離が長い(望遠レンズ)ほど、画角が狭くなり、撮影できる範囲が狭まりますが、遠くの被写体を大きく写すことができます。

次に、被写体の大きさに関してです。焦点距離が短い広角レンズでは、被写体が小さく写り、背景が広く映り込みます。これに対して、焦点距離が長い望遠レンズを使うと、被写体が大きくクローズアップされ、背景が圧縮されたように見えるため、被写体がより際立って見えます。

このように、焦点距離は写真全体の構図や印象を大きく変える重要な要素です。撮影するシーンや意図に合わせて、焦点距離を適切に選ぶことで、より印象的な写真を撮ることができます。

絞りとは?

絞りとは、カメラのレンズにある「F値」と呼ばれる設定のことで、レンズを通る光の量を調整する役割を持っています。

レンズの中にある「絞り羽」という部品が、まるで人間の目の瞳孔のように開いたり閉じたりすることで、光の量をコントロールします。

例えば、F値が小さい(F2.8など)と、絞りが大きく開いてたくさんの光がカメラに入ります。

一方、F値が大きい(F16など)と、絞りが狭くなって入る光の量が減ります。つまり、絞りを変えることで写真の明るさが変わるのです。

絞りは、写真の「被写界深度」にも大きな影響を与えます。

被写界深度とは、ピントが合って見える範囲のことです。

F値が小さいと、背景が大きくぼけて、被写体が際立ちます(浅い被写界深度)。逆にF値が大きいと、背景までくっきりと見える写真になります(深い被写界深度)。

ポートレート写真を撮るときに背景をぼかして被写体を引き立たせたい場合は、F値を小さく設定します。

一方、風景写真などで手前から奥までピントを合わせたいときは、F値を大きく設定するのが一般的です。

このように、絞りは光の量だけでなく、写真の見え方そのものに大きく関わってきます。

絞りを理解し、使いこなすことで、写真の表現の幅が広がります。

焦点距離と絞りの関係

焦点距離と絞りは、写真の仕上がりに大きな影響を与える重要な要素です。

これらを組み合わせることで、写真の見え方が変わります。

まず、焦点距離とは、レンズの「どれくらいの範囲を写せるか」や「被写体をどれくらい大きく写すか」を決める要素です。これに対して、絞り(F値)は、レンズを通る光の量を調整し、写真の明るさや背景のぼかし具合(被写界深度)をコントロールします。

焦点距離が長くなる、つまり望遠レンズを使うと、被写界深度が浅くなりやすく、背景がボケやすくなります。

例えば、遠くにある被写体を大きく撮影したいとき、背景をきれいにぼかして被写体を際立たせることができるのです。

一方、広角レンズ(焦点距離が短いレンズ)では、同じF値でも背景があまりぼけず、手前から奥までしっかりとピントが合いやすくなります。広角レンズを使って風景写真を撮るときなどに、全体をくっきりと撮影するのに適しています。

さらに、望遠レンズと広角レンズでは、絞り効果にも違いがあります。たとえば、望遠レンズでF2.8の絞りを使うと、背景が大きくぼけて被写体が際立ちますが、広角レンズで同じF2.8を使っても、背景はそれほどぼけず、広い範囲にピントが合った写真になります。

このように、焦点距離と絞りの組み合わせ次第で、写真の表現が大きく変わるのです。

焦点距離を調整しながら絞りを選ぶことで、自分が狙ったイメージ通りの写真を撮ることができるようになります。

実際の撮影シチュエーションでの活用法

ポートレート撮影時の焦点距離と絞りの設定例


ポートレート撮影では、被写体を美しく引き立てるために、背景をぼかして被写体を際立たせるのが一般的です。

この効果を得るためには、焦点距離が長めのレンズ(例えば85mmや100mmの望遠レンズ)を使い、絞りはF2.8やF4など、比較的小さい値に設定します。

こうすることで、背景がしっかりとぼけて、被写体だけが際立った美しいポートレート写真が撮れます。

風景撮影時の焦点距離と絞りの設定例


風景撮影では、広い範囲をくっきりと写すことが求められます。

そのためには、広角レンズ(例えば24mmや35mmのレンズ)を使い、絞りはF8やF11といった大きめの値に設定します。

これにより、手前から奥まで全体がシャープに写り、広がりのある風景写真が撮影できます。

風景全体をクリアに表現するには、この設定が適しています。

被写体に応じた最適な設定の選び方

被写体によって、最適な焦点距離と絞りの設定が変わります。

たとえば、小さな花や昆虫などのマクロ撮影では、焦点距離が長いレンズ(マクロレンズ)と絞りを小さく設定して背景をぼかすと、被写体が浮かび上がるような写真が撮れます。

一方、建物や街並みを撮影する場合は、広角レンズ大きめの絞り値を使うことで、全体がはっきりとした写真になります。

カメラの設定は、撮影するシチュエーションや被写体の特性に合わせて柔軟に選ぶことが大切です。

自分がどんな写真を撮りたいのかをイメージしながら、焦点距離と絞りを調整してみましょう。

最初は試行錯誤するかもしれませんが、徐々に自分のスタイルに合った設定がわかるようになります。

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試行錯誤が楽しくなってくるまで撮り続けるのが上達のポイントです!

焦点距離と絞りに関してよくある誤解や迷い

焦点距離と絞りに関して初心者が陥りやすい誤解

カメラ初心者が焦点距離や絞りを使いこなす際に、よく陥りがちな誤解があります。

その一つが、「焦点距離が長ければ、常に良い写真が撮れる」というものです。

実際には、焦点距離が長いほど背景がぼけやすくなるため、ポートレートなどには適していますが、風景や広い場面を撮影する場合には適していません。

シーンに応じて適切な焦点距離を選ぶことが重要です。

もう一つの誤解は、「絞りを小さくすれば、いつでも背景が美しくぼける」という考えです。

確かに絞りを小さくすると背景がぼけやすくなりますが、焦点距離や被写体と背景の距離にも影響されます。

たとえば、広角レンズを使っていても、被写体と背景が近い場合は思ったほどぼけないことがあります。

設定を選ぶ際に迷わないためのポイント

焦点距離と絞りの設定を選ぶ際に迷わないためには、まず「何を強調したいのか」を考えることがポイントです。

たとえば、被写体を際立たせたい場合は、焦点距離を長くし、絞りを小さく設定します。

一方、全体をくっきりと見せたい場合は、広角レンズを使い、絞りを大きくします。

もう一つのポイントは、撮影シーンに応じて基本的な設定を覚えておくことです。

たとえば、ポートレートなら85mm前後の焦点距離とF2.8〜F4の絞り、風景なら24mm前後の焦点距離とF8〜F11の絞り、といった具合に覚えておくと、迷ったときに参考になります。

最終的には、実際に撮影しながら試行錯誤することが大切です。

異なる設定で撮影した写真を見比べることで、焦点距離と絞りの効果をより実感できるでしょう。

時間をかけて練習し、自分にとってしっくりくる設定を見つけていくことが、カメラを使いこなすための近道です。

まとめ

今回の記事では、焦点距離と絞りについての基本を解説し、それらが写真にどのような影響を与えるかを説明しました。

焦点距離が被写体の見え方や背景のぼけ具合にどう関わるのか、また絞りが光の量や被写界深度にどのように影響するのかを理解することで、写真の表現の幅が大きく広がります。

焦点距離と絞りの関係が整理できていれば、シーンや被写体に応じて最適な設定を選べるようになり、撮影する写真がより自分のイメージに近づくはずです。

これからも様々なシチュエーションで試行錯誤しながら、焦点距離と絞りの設定を自分のものにしていきましょう。

それによって、あなたの写真はさらに豊かな表現力を持つようになります。


次回は、「シャッタースピードについて」詳しく解説していきます。シャッタースピードは、写真の明るさや動きの表現に大きな影響を与える重要な要素です。

これをうまく使いこなすことで、動きのある被写体をブレずに撮影したり、逆に動きをあえてブレさせて表現したりと、写真に新たな可能性を加えることができます。

次回の記事では、シャッタースピードの基本から、撮影シーンに応じた設定方法まで、わかりやすく解説していきます。どうぞお楽しみに!