クリエイターの皆さんは、アイデアはあるのに、それを形にする時間が足りないと感じたことはありませんか?
「ラフ案を素早く出したい」 「イメージの方向性を探りたい」 「クライアントとの認識合わせを効率化したい」
そんな願いを叶えてくれるのが、日本語で使えるAI画像生成ツール「Nijijourney」です。日本語でプロンプトを入力するだけで、アニメ調やイラスト調の高品質なビジュアルを生み出せます。Midjourneyの技術を基盤としながら、日本語での指示に特化した本ツールは、日本のクリエイターのワークフローを大きく変えようとしています。
この記事では、Discordでの基本的な使い方から、すぐに使える実用的なプロンプト例、さらには1枚の画像を理想に近づけていく具体的なリファインの過程まで、実例を交えて解説します。
Nijijourneyとは:日本のクリエイターの新しい味方
クリエイティブの現場が大きく変わろうとしています。
かつて「アイデアをビジュアル化する」というプロセスには、相当な技術と時間が必要でした。ラフ案を出すにも、まず基本的なデッサン力や、Photoshopなどのツールの使い方を習得する必要があったのです。
しかし、Midjourneyの登場により、このプロセスは変化を迎えようとしています。
なぜ今、クリエイターにNijijourneyが必要なのか
Nijijourney(Midjourney)は、日本語のテキストによる指示(プロンプト)から、アニメ調やイラスト調の高品質な画像を生成できるAIツールです。その特徴は以下の3点です:
- 日本語での直感的な操作 英語を考える必要がなく、思い浮かべたイメージをそのまま日本語で指示できます。
- アニメ・イラスト特化の表現力 日本のアニメやイラストの文化に特化した画像生成が可能で、キャラクターデザインから背景まで、日本的な表現を得意としています。
- Midjourneyの基盤技術 世界的に高い評価を得ているMidjourneyの技術を基盤としているため、高品質な画像生成が可能です。
Nijijourneyでできること・できないこと
できること:
- アニメ調のキャラクターデザイン
- イラスト調の風景画
- 日本的な雰囲気の表現
- カワイイ系のキャラクター
- アニメ調の建物や背景
- デフォルメされたキャラクター
- SDキャラクター
できないこと:
- 写実的な写真風の表現
- 著作権で保護された特定のキャラクターの模写
- 精密な文字の配置
- 完全な対称性が必要なデザイン
他のAI画像生成ツールとの違い
現在、主要なAI画像生成ツールには、DALL-E 3、Stable Diffusion、Midjourney、そしてNijijourneyなどがあります。Nijijourneyの特徴は:
- 日本語での操作 日本語でプロンプトを書けるため、直感的な操作が可能です。
- アニメ調・イラスト調に特化 日本のアニメ文化に特化したモデルを使用しているため、アニメ調やイラスト調の表現が得意です。
- Midjourneyの技術基盤 高品質な画像生成で定評のあるMidjourneyの技術を活用しています。
Discordでの基本セットアップと操作方法
Nijijourneyは、コミュニケーションツール「Discord」上で動作します。アニメやイラストが好きなクリエイターが集まるコミュニティで、新しいアイデアや表現に出会えるのも魅力の一つです。
アカウント作成と初期設定
Nijijourneyを使い始めるまでの手順を見ていきましょう:
- Discordアカウントの作成
- Discordのウェブサイトでアカウントを作成
- メールアドレスの認証を完了
- プロフィールの基本設定
- Nijijourneyボットの招待
- Midjourney公式サイトにアクセス
- 「Join the Beta」をクリック
/settings
でNijijourneyモードに切り替え
- サブスクリプションの選択
- 無料トライアル(約25回の生成が可能)
- 有料プランの選択(Basic/Standard/Pro)
- 支払い方法の設定
基本的なコマンドの使い方
操作は簡単な日本語コマンドで行えます:
1. 画像生成の基本コマンド
/imagine prompt: [ここに日本語の指示文を入力]
例:可愛い女の子、ロングヘア、青い瞳、笑顔
試しに全く同じプロンプトでMidjourneyでやってみました。日本語です。
以前は結構アレだったんですが、まぁまぁなものが出来上がりました。
今回はNijijourneyの記事なので、引き続きNijijourneyの内容を書いていきます。
脱線してすみません。
2. 生成後の操作
- U1〜U4:画像の高解像度化(Upscale)
- V1〜V4:バリエーションの生成(Variation)
- 🔄:新しいバージョンの生成(Retry)
- ⭐:お気に入りに追加
3. 便利な設定コマンド
/settings
:設定メニューの表示/info
:使用状況の確認/help
:ヘルプの表示/describe
:画像からプロンプトを生成
プロンプトの基本構造を理解する
日本語プロンプトは、以下の要素で構成すると効果的です:
- メインとなる要素
- キャラクターの特徴
- 表情や感情
- ポーズや動作
- 詳細設定
- 服装や小物
- 背景や環境
- 光や天気
- 画風や雰囲気
- アニメ調/イラスト調
- カラーパレット
- 全体の雰囲気
メイン要素 + 詳細設定 + 画風
女の子、ロングヘア、笑顔 + 白いワンピース、花畑、春の日差し + アニメ調、優しい雰囲気 --ar 16:9
プロンプトの基本テクニック
Nijijourneyで理想の画像を生成するには、プロンプトの書き方を工夫することが重要です。ここでは、効果的なプロンプトを書くためのテクニックを紹介します。
基本的なプロンプトの組み立て方
プロンプトは「説明」と「パラメータ」の2つの要素で構成されます:
/imagine prompt: [説明部分] --[パラメータ]
基本的な順序
- キャラクター/対象物の特徴
- 服装/状態
- 背景/環境
- 画風/雰囲気
- パラメータ設定
効果的な日本語表現集
キャラクターの表現
外見:
- 整った顔立ち
- 切れ長の瞳
- 透明感のある肌
- ふんわりした髪
表情:
- はじける笑顔
- 物思いにふける
- 凛とした表情
- うっすらと涙目
ポーズ:
- 軽やかなステップ
- 優雅な仕草
- 力強い構え
- 愛らしい仕草
よく使うパラメータ解説
1. アスペクト比の指定
--ar 1:1 正方形
--ar 3:2 一般的な横位置写真
--ar 2:3 一般的な縦位置写真
--ar 16:9 ワイド画面
2. 画質の調整
--q 1 標準品質
--q 2 高品質
--s 100 細部の制御
3. バージョン指定
--niji 5 最新バージョン
--v 5 詳細なコントロール
画風やトーンの指定方法
1. アニメ調の指定
- アニメ風
- 少女漫画風
- シンプルなアニメ調
2. イラスト調の指定
- 水彩画風
- パステルタッチ
- ポップなイラスト調
- キュートなデフォルメ
【実例集】すぐに使える!プロンプト10選
実践的なプロンプトとその解説を見ていきましょう。それぞれのプロンプトは、実際の制作シーンを想定して作成しています。
1. キャラクターイラスト:魔法少女
/imagine prompt: 魔法少女、ロングヘアー、青い瞳、華やかな魔法衣装、キラキラしたエフェクト、満月の夜空、魔法の杖、蝶が舞う、少女漫画風、優雅なポーズ --ar 2:3 --niji 5
ポイント解説
- キャラクターの特徴を具体的に
- 幻想的な雰囲気を演出する背景要素
- 縦長アスペクト比で全身を効果的に表現
なんだかセーラー◯ーン的な・・・
2. 風景画:和風の街並み
/imagine prompt: 伝統的な和風の街並み、提灯、桜吹雪、夕暮れ、石畳の道、古い木造建築、町家、温かみのある光、ノスタルジックな雰囲気、水彩画風 --ar 16:9 --niji 5
ポイント解説
- 日本らしさを感じる要素を複数配置
- 時間帯を指定して雰囲気を統一
- 横長アスペクト比で風景を広く表現
クオリティたかっ!!
3. SDキャラクター:マスコットデザイン
/imagine prompt: 可愛いクマのマスコット、デフォルメ、丸みを帯びた、パステルカラー、ゆるかわ、ふわふわ、笑顔、小さな王冠、愛らしい仕草、シンプルな背景 --ar 1:1 --niji 5
ポイント解説
- デフォルメ要素を強調
- 可愛らしさを引き立てる小物を追加
- 正方形でSNSアイコンなどに最適化
可愛いけど何かに似てる・・・何かに・・・??
4. 食べ物イラスト:スイーツ
/imagine prompt: 華やかなパフェ、いちご、生クリーム、チョコレートソース、カラフルなマカロン、キラキラしたガラスの器、滑らかな質感、おいしそう、魅力的な盛り付け、パステルカラー --ar 4:5 --niji 5
ポイント解説
- 食欲をそそる表現を使用
- テクスチャや質感を具体的に指定
- インスタグラムなどのSNS投稿に適したアスペクト比
これはこれで普通に制作時に素材として使えそうですね。
5. アニメ調背景:学校教室
/imagine prompt: 朝日が差し込む教室、木製の机と椅子、黒板、カーテンが風になびく、チョークの跡、花瓶に活けられた花、懐かしい雰囲気、アニメ背景風、繊細な影の表現 --ar 16:9 --niji 5
ポイント解説
- 光の演出で空気感を表現
- 細部の描写で臨場感を追加
- アニメならではの理想化された空間表現
なんかの映画の一コマのような印象ですが、クオリティは高いですね。
6. 和風キャラクター:巫女
/imagine prompt: 巫女装束、長い黒髪、凛とした表情、神社の境内、紅葉、鳥居、和風ファンタジー、はんなり、優雅な立ち姿、和風アニメ調 --ar 2:3 --niji 5
ポイント解説
- 日本的な要素を効果的に配置
- 雰囲気を表す形容詞を使用
- 縦構図で立ち姿を印象的に
何回かリファインしたら、巫女さん自体の作風も統一していけそう
7. ファンタジー風景:魔法の森
/imagine prompt: 神秘的な森、光り輝く蛍、巨大な古木、キノコの家、妖精が舞う、魔法の光、霧がかかった背景、ファンタジックな雰囲気、やわらかな色調 --ar 16:9 --niji 5
ポイント解説
- 非現実的な要素をバランスよく配置
- 光と霧で神秘的な雰囲気を演出
- 横長構図で空間の広がりを表現
ファーンタスーティポー♪♪
8. アイテムデザイン:魔法の本
/imagine prompt: 古代の魔法書、革装丁、金の装飾、宝石の飾り、魔法の文字、神秘的な模様、浮かび上がる魔法陣、経年変化、ファンタジー、クローズアップ --ar 1:1 --niji 5
ポイント解説
- テクスチャや素材感を丁寧に指定
- 装飾的要素を効果的に配置
- 正方形構図でSNSシェアに最適化
だいぶリアリティのあるものが生成されました。実際にあったとしたら多分開かないだろうな。
特急呪物???的な。
9. 季節感のある風景:雪の温泉街
/imagine prompt: 雪降る温泉街、提灯の明かり、湯気、和風旅館、石畳の道、ちょうちん、冬の夜景、心温まる雰囲気、静けさ、和風アニメ調 --ar 16:9 --niji 5
ポイント解説
- 季節を感じる要素を複数配置
- 光と影で温かみのある雰囲気を表現
- 横長構図でパノラマ的な見せ方
プロンプト次第ですが、若干既出の画と似ているものが生成されました。この辺りは工夫が必要ですね。
10. SDキャラクター:ゲームキャラクター
/imagine prompt: ちびキャラ勇者、かわいいデフォルメ、大きな剣、ファンタジー装備、きらきらしたエフェクト、元気な表情、アクティブなポーズ、ポップな色使い --ar 1:1 --niji 5
ポイント解説
- ゲームらしい特徴を効果的に表現
- アクションポーズで躍動感を演出
- デフォルメ要素で親しみやすさを表現
こうきたか!
リファインの実践例:理想の画像へ段階的に進化させる
ここでは、最初に生成した複数の案から1つを選び、段階的に理想の形に調整していく実例を紹介します。
Step 1:初期プロンプトと案の生成
/imagine prompt: 和風の少女、巫女装束、黒髪ロング、優しい表情 --ar 2:3 --niji 5
このステップのポイント
- 基本的なプロンプトで複数案を生成
- V1〜V4から好みの方向性を選択
- U1〜U4でベース画像を決定
Step 2:選択した画像をベースに髪と表情を調整
以下をベース案としました。
続けてリファインしていきます。
/imagine prompt: 和風の少女、巫女装束、艶のある黒髪ロング、儚げな横顔、切れ長の瞳、透明感のある肌 --ar 2:3 --niji 5
調整のポイント
- 髪の質感を具体化
- 表情の方向性を明確に
- 顔の特徴をより詳細に
Step 3:ポーズと構図の改善
/imagine prompt: 和風の少女、巫女装束、艶のある黒髪ロング、儚げな横顔、切れ長の瞳、透明感のある肌、和傘を持つ、やや俯瞰視点 --ar 2:3 --niji 5
調整のポイント
- 小物(和傘)の追加
- 視点の調整
- ポーズの具体化
Step 4:光と影の演出を追加
/imagine prompt: 和風の少女、巫女装束、艶のある黒髪ロング、儚げな横顔、切れ長の瞳、透明感のある肌、和傘を持つ、やや俯瞰視点、夕暮れの逆光、淡い光芒 --ar 2:3 --niji 5
調整のポイント
- 光の方向性を指定
- 全体の雰囲気を強化
- 陰影の表現を追加
Step 5:最終的な細部の調整
/imagine prompt: 和風の少女、上品な巫女装束、艶のある黒髪ロング、儚げな横顔、切れ長の瞳、透明感のある肌、和傘を持つ、やや俯瞰視点、夕暮れの逆光、淡い光芒、桜吹雪、水彩画風 --ar 2:3 --niji 5
調整のポイント
- 装束の質感を調整
- 環境効果(桜吹雪)の追加
- 画風の最終指定
どうでしたかね?途中若干若返ったりしましたが、
クオリティを上げていったり、細部を調整したりというのはある程度できることが伝わっていたら幸いです。
まとめ:クリエイターの新しい可能性を広げるNijijourney
私自身、Nijijourney(Midjourney)を使い始めてから、クリエイティブワークフローが大きく変わる実感を得ました。
特に、アイデアの初期段階での可視化がスムーズになり、社内、クライアントと問わずコミュニケーションが格段に具体化されるのでは?と感じています。
クリエイターの武器としてのNijijourney(Midjourney)
従来、イメージを形にする過程で多くの時間を費やしていた私たちクリエイターですが、Nijijourney(Midjourney)はその過程を劇的に短縮してくれそうな気がしています。
例えば、これまである程度時間のかかっていた、参考探しやラフ案作成のためのラフラフ案のようなものがだいぶ短縮できそうな気がしています。
私は、このツールは「クリエイターの代替」とかではなく、「クリエイターの可能性を広げる武器」として捉えるべきかなと感じています。プロンプトを工夫し、段階的にリファインしていく過程は、むしろクリエイターとしての知見や感性、ビジネスコミュニケーションなどが必要不可欠です。
私が実感した3つのメリット
1. アイデア展開の加速
- 思いついたアイデアをすぐに形にできる
- 複数の方向性を素早く比較検討できる
- クライアントの反応を早い段階で確認できる
2. クオリティの向上
- 理想のイメージにより近づきやすい
- 細部まで丁寧に作り込める
- 予想以上の発見や気づきが得られる
3. 作業効率の改善
- ラフ案作成の時間短縮
- バリエーション展開の効率化
- イメージの共有がスムーズに
これからのクリエイティブワークへの展望
AIツールは、私たちクリエイターの「思考の速度」と「表現の速度」の隔たりを埋めてくれます。アイデアが浮かんだ瞬間に、それを視覚化できる。この新しい可能性は、クリエイティブの世界に大きな変革をもたらすでしょう。
ただし、最も重要なのは、このツールを「どう使うか」という私たち自身の創造性です。技術的なプロンプトの書き方だけでなく、クリエイターとしての感性や意図を明確に持ち、それを効果的に伝えることが、より質の高い作品を生み出すカギとなります。
私自身、これからもNijijourneyを積極的に活用しながら、新しいクリエイティブの可能性を探っていきたいと思います。この記事が、皆さんのクリエイティブワークの一助となれば幸いです。
ついつい色々と試してしまって、仕事が遊びになっていき、
気づいたら相当時間使っているという非効率なパターンは要注意です。