Claude Agent Teams 触ってわかったsubagentとの決定的な違い

Claude Agent Teams — subagentの延長ではなく、「関係性の設計」だった

Claude Agent Teams が 2026年2月5日に発表されたとき、真っ先に思ったのは「subagentとなにがちがうんだろう??」でした。

しかし、調べたり、触ったりしていくことでわかったのは、「これは subagent の延長ではなく、関係性の設計だ」ということでした。

subagent は「分担されたAI」を扱う仕組みです。

メインのClaudeがタスクを切り出して、サブに投げて、結果を受け取る。

一方で Agent Teams は「AI同士が直接やり取りし、全体を調整しながら進める仕組み」のようです。

まだリリースされたばかりの実験的機能なので、どこまで実務ワークフローにフィットするかは未知数です。

CLAUDE.mdの育て方で紹介したようなClaude Code活用の延長線上で、触ってみた直感と公式情報を行き来しながら整理してみたいと思います。

Agent Teamsの基本:公式ドキュメントから整理する

まず、公式ドキュメントの情報を整理します。

Agent Teams は Claude Code v2.1.32 で導入された機能で、複数の Claude Code インスタンスをチームとして協調動作させるものです。

基本構造は「リードエージェント + チームメイト(メンバー)」。

リードエージェントがタスクを割り当て、チームメイトが並列に独立して作業を進めます。

ここまでなら「subagent と何が違うの?」と思うかもしれません。

決定的な違いは、チームメイト同士が直接メッセージングできるという点です。

subagent では、すべてのやり取りがメインエージェントを経由していました。

つまりハブ&スポーク型(中央集権型)の構造です。

Agent Teams では、リードエージェントが存在しつつも、チームメイト同士が直接やり取りできるハイブリッド型のアーキテクチャになっているようです。

ただ、ここで「なぜこの違いが重要なのか?」を考えてみます。

単に通信経路が増えただけなのか、それとも根本的に何かが変わるのか。

それを考えるために、subagent 運用で感じていた課題を振り返ります。

なぜ Agent Teams は subagent と違うのか

私はこのブログの記事制作にsubagentを活用しています。

サブエージェントに何を任せて何を任せないかでも書いた通り、インタビュー、SEO戦略、執筆、編集をそれぞれ別のサブエージェントに委託し、メインのClaudeが司令塔として結果をリレーする仕組みです。

この運用で感じていた課題がいくつかあります。

1つ目は、途中プロセスの不透明さです。

subagent は「結果を返す」まで中で何をやっているかが見えません。

タスクを投げたら、完了するまでブラックボックスになります。

2つ目は、割り込み対応の難しさです。

subagent が処理中に「やっぱりこの方向に変えて」と言いたくなっても、実行中のタスクに介入する手段がほとんどありません。

3つ目は、オーケストレーションの複雑さです。

複数のsubagentを連携させる場合、すべての情報をメインエージェントが仲介する必要があります。

エージェントAの結果をBに渡し、Bの結果とAの結果をCに渡し……と、中継地点が増えるたびに司令塔の負荷が上がります。

Agent Teams は、これらの課題に対して構造的なアプローチを取っているように見えます。

チームメイトが直接会話できることで、メインエージェントがすべてを仲介する必要がなくなります。

また、各エージェントが独自のコンテキストウィンドウを持つことで、単一エージェントのコンテキスト劣化問題を構造的に回避できるかもしれません。

Google Chrome DevRelのAddy Osmani氏が指摘しているように、複雑なタスクの60%程度まで進むとコンテキストが劣化する現象が知られています。

エージェントごとにコンテキストを分離することは、この問題への有効な対策になりそうです。

比較を整理すると、以下のようになります。

観点subagentAgent Teams
コンテキスト共有メインエージェントが仲介チームメイト間で直接共有
役割の割り当て明示的に指定する必要があるリードが全体を把握しつつ動的に調整
割り込み対応難しい(文脈が切れやすい)柔軟(途中で方針変更しやすい)
複雑な連携司令塔(メイン)の負荷が大きい直接通信により負荷分散

どんな用途で「使えそう」と感じるか?

Agent Teams が効果を発揮しそうなユースケースをいくつか想像してみました。

記事制作チーム

まさに今の私の用途です。

リサーチ担当、執筆担当、編集担当がそれぞれ独立しつつ、「ここの表現、SEO的にどう?」と直接やり取りできる。

メインの司令塔がすべてを仲介しなくても済むようになれば、ワークフロー全体がシンプルになるかもしれません。

複数視点レビュー

コードレビューを「セキュリティ観点」「パフォーマンス観点」「可読性観点」の3エージェントに並列で任せ、互いの指摘を参照しながらレビューを統合する。

subagent でもできなくはないですが、エージェント同士が直接やり取りできることで、矛盾した指摘の調整がスムーズになりそうです。

分散ブレスト

複数のAIに異なる立場からアイデアを出させ、互いに反応させる。

ファシリテーター役のリードエージェントがいつつも、参加者同士が直接議論できる形は、subagentでは再現しづらい構造です。

ただし、Anthropicの16エージェントCコンパイラ実験(100,000行・$20,000)では、「全エージェントが同じバグに集中して修正が衝突する」という課題も報告されています。

並列にすれば良いという単純な話ではなく、協調の設計こそが重要なのだと感じます。

Agent Teams を触ってみた直感

実際に触ってみると、subagent とは明らかに異なる「感触」がありました。

セットアップ自体はシンプルです。

リードエージェントを起動し、チームメイトを追加していく形式で、概念的にはわかりやすい構造です。

subagent が「タスクを投げて結果を待つ」感覚だったのに対して、Agent Teams は「チームを編成して一緒に動かす」感覚に近いと感じました。

リードエージェントとメンバーの関係性も興味深いです。

リードはタスクの割り当てと進捗管理を担いますが、メンバーは自律的に動きます。

subagent のように「指示→完了報告」の一方通行ではなく、メンバーからリードへの報告や、メンバー同士の相談が発生するのが新鮮でした。

一方で、現時点での制約もはっきりしています。

  • セッションの再開ができない
  • 1セッションにつき1チームまで
  • トークンコストが単一セッションの5〜7倍?程度になる

特にトークンコストは、AI自動化ツール4強比較ガイドで整理したようなコスト意識とのバランスが求められます。

実務運用を考えると、これらの制約は無視できません。

いつ向いていて、いつ向いていないか?

触ってみた感覚と公式情報を踏まえて、現時点での使い分けを整理してみます。

Agent Teams が向いていそうな場面

  • 文脈共有が重要なタスク。複数の観点が互いに影響し合う作業。レビュー、企画、設計など
  • 並列で進めたいタスク。独立して進行可能な複数タスクを同時処理したい場合
  • 設計変更が頻繁に入る作業。途中で方向転換が起きやすいプロジェクト

subagent のほうが向いている場面

  • 単一の明確なタスク。「この関数のテストを書いて」のような、入力と出力がはっきりした作業
  • コンテキストが少量で済む場合。司令塔の負荷が低い小規模な委託
  • トークンコストを抑えたい場合。Agent Teams の5〜7倍?のコストは、すべてのタスクに適用するには重い。
    subagentのトークン爆発を防ぐ方法で整理したsubagent単体のコスト問題がさらに増幅される

Anthropic自身も「シンプルなプロンプトで解決できるならマルチエージェントにするな」と明言しています。

Agent Teams は万能ではなく、「関係性の設計」が必要な場面でこそ活きる仕組みなのだと思います。

まとめ

Claude単体 → subagent → Agent Teams という進化は、「AIに何をやらせるか」から「AIの関係性をどう設計するか」への転換のように感じています。

2026年2月5日は、Anthropic(Agent Teams)、VS Code(マルチエージェント対応)、GitHub(Agent HQ)が同日に発表した「マルチエージェント同時多発」の日でもありました。

この領域が今後どう育っていくのか、注目していきたいと思います。

まだ実験的機能であり、実務ワークフローにどこまでフィットするかは未知数です。

ただ、subagent 運用で感じていた「不透明さ」「割り込みの難しさ」「オーケストレーションの複雑さ」に対する構造的な回答が見えてきたことは確かです。

参考になれば幸いです。

参考文献